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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 実践「アメーバ経営」 管理会計を超えた稲盛流経営術

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 実践「アメーバ経営」 管理会計を超えた稲盛流経営術

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 ■■経営コンサルタントのお勧め図書】

 『実践「アメーバ経営」』

(稲盛和夫 京セラコミュニケーションシステム著 日本経済新聞出版社)

 

   管理会計を超えた経営管理の優れもの「アメーバ経営」(はじめに) 

 「アメーバ経営」は、「京セラ会計」として管理会計の世界でよく知られた手法に「京セラ会計」を支える経営管理・組織・哲学・戦略を加えたものです。

 

 京セラの創始者であり、紹介本の著者でもある稲盛和夫氏が、本来、京セラの企業機密である管理会計手法と、その管理会計手法が円滑に運用される基盤としての経営管理手法を、多くの中小企業のために、2000年前後に社外に公開したことが、「京セラ会計」が世に広まる契機となりました。700社以上の企業が京セラ傘下のコンサルティング会社の指導により導入し、業績を飛躍的に伸ばしています。

 

 「京セラ会計」は管理会計の教科書に必ず載るポピュラーな管理会計手法になりましたが、「京セラ会計」のテクニックを学んでも、それが確実に企業の業績を伸ばすツールになるとの確信を持てませんでした。皆さんはどうですか。私はそうでした。

 

 その原因がこの紹介本を読んでよく解りました。それは「京セラ会計」の裏の見えないところに流れている会計実践者の心の内を知らないからです。まさに“心を作ること”、それが「アメーバ経営」と言われる経営管理手法の神髄であり、「京セラ会計」を優れた管理会計ツールにする基盤なのです。

 

 紹介本を通じ、また、JALの再建成功(注)という偉大な事実を通じ、「アメーバ経営」の底力を次項で見てみたいと思います。

 

(注)JALは2010年1月に会社更生法の適用申請。申請直後の2010/3期の営業利益は▲1,337億円。2012年9月に再上場。再上場直前の2012/3期の営業利益は2,049億円の黒字。約2年余りの再建期間で、3,349億円の採算改善を成し遂げた。

 

 

   優れもの「アメーバ経営」の“神髄”

【JAL再建成功で立証された「アメーバ経営」の底力】

 

 著者は、JALが短期間のうちに再生会社から高収益企業に生まれ変わった要因として次の5つの要因を挙げています。

 

 「①新たな経営理念の確立②フィロソフィーをベースとした意識改革③アメーバ経営の導入④「人のため、世のため」という思いの共有⑤トップの無私の姿勢」の5つです。

 

 これは「アメーバ経営」そのものの導入といってよいでしょう。京セラの経営理念は「全従業員の物心両面の幸福(しあわせ)を追及すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」です。JALで再建に当たり導入した経営理念は「全社員の物心両面の幸福を追求すること」でした。「公的支援を受けた企業」の経営理念にはふさわしくないと批判を浴びながらあえて導入したのは、社員一人一人の幸福なしに何事も進まないことを著者はよく理解していたからでしょう。ここに「京セラ会計」の基本が有ります。

 

 京セラでは、経営理念に現わされた経営目的を実現するための行動指針として、また素晴らしい人生を送るための考え方の基準として「京セラフィロソフィー」があり、一つの手帳としてまとめられています。JALにおいても「JALフィロソフィー」を作り、社員一人一人とのコミュニュケーションの場を作り、「JALフィロソフィー」の浸透とそれによる意識改革を図ったのです。

 

 「全社員の幸福」の次には「世のため、人のため」という考え方をお互いに共有しようとし、本来ならば経営理念の中に一緒に織り込んでも良いものを、あえて二つに分けて、優先順位を明らかにしたのです。最後に経営者・リーダーのあるべき姿勢を強調しているのです。ツールとして導入した「アメーバ経営」それは「京セラ会計」そのものです。

 

 以上見て来ました様に、稲盛流経営、アメーバ経営をJALの再建に全面的に取り入れたのです。結果はご存知のように、再建企業JALが、超優良企業に生まれ変わっていったのです。「京セラ会計」というツールと、そのツールを活性化させる経営管理・戦略が相伴った「アメーバ―経営」の底力を、目の当りに見ることができるのではないでしょうか。

 

【「考え方」こそが人生・経営を左右する】

 

 著者は、経営について次のような公式を持っています。

 

人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

 

 JAL再建に当たってもこの公式を全面的に導入しました。その中でも特に「考え方」が大切と著者は主張します。その考え方はまず「プラスの考え方」でなくてはならないとします。次に、具体的な経営者的「考え方」は、全社員との家族のような関係の構築、経営者意識を持った人材の育成、独立採算意識を浸透させるためのアメーバ組織と収益状態を管理するツール(「京セラ会計」)の導入、アメーバ組織間の利害対立の解消、全社員の会社経営への参画であるとします。

 

 このような考え方に、アメーバ経営の神髄を見ることができるのではないでしょうか。

 

【「アメーバ経営」で時間を捉えることの意味】

 

 アメーバ経営の会計管理ツール「京セラ会計」では、他の管理会計にはない特徴的概念として“時間概念”が取入れられています。

 

 「京セラ会計」の一つの目的に、生産性・採算性の向上が有ります。「アメーバ組織の生産性・採算性を計る尺度として、一般的な純利益を使うと、一人一人の労務費・給与がつまびらかになり、組織のメンバーの目が、労務費・給与に向き、本来の活動に濁りが入ってしまう。これを避けるためにアメーバ組織の採算を、一時間当たり純利益という指標で見る」と著者は説明します。加えて、アメーバ―組織間での、時間当たり純利益を比較することで、共通の尺度で比較でき、アメ-バ組織間の比較・競争・改善にプラスに働くとします。

 

 “時間概念”は「京セラ会計」の一つの特徴ですが、この他、アメーバ組織間での売買価格、間接部門コストの配賦などの仕組みの構築、仕組みの情報システム化などに相応のコストがかかりますが、それを大きく上回る、生産性・採算性の向上と、経営への全員参加や社員の意識変革などのメリットが得られると著者は強調します。

 

【その他の「アメーバ経営」の優れているポイント】

 

 他にも京セラ会計の「7つの会計原則」「従業員をやる気にさせる7つの鍵(経営者の役割)」等、著者の実体験から生まれた知見が紹介されています。詳しくは紹介本をお読みください。

 

 

 「アメーバ経営」の導入で企業は生まれ変わるか(むすび)

 倒産上場企業が再上場出来た過去の実績は6.5%という厳しい数字が有ります。そのような難題であるJAL再建・再上場が、再建計画を上回る成功に至ったカギについて、JALの再建に携わった企業再生支援機構(現地域経済活性化支援機構)の企業再生支援委員長の瀬戸英雄弁護士(瀬戸氏自身も倒産企業の再建のベテラン弁護士として、JAL再建成功のもう一つのカギと評価されている)は、「稲盛和夫氏を招聘できたこと」であると述べています(「JAL再生〈引頭麻実著 日本経済出版社〉」より引用)。

 

 紹介本や上記で引用した「JAL再生〈引頭麻実著〉」を通読し、JAL再建・再上場成功の中で果たした稲盛流「アメーバ経営」の力に、驚きの念を禁じえません。

 

 「アメーバ経営」の導入により企業に変革をもたらすには、管理会計ツールの裏にある経営管理・変革の努力が不可欠であることを痛感するのです。この努力をする覚悟無しでは、管理会計ツールの導入効果は皆無に等しいと痛感するのです。

 

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

   http://www.jmca.or.jp/consultantjouhou/3keikonhenomichi/keikon.htm
 
  長い経営コンサルタント経歴の基、書かれたページで、経営コンサルタントになるひとの60%ものの人が目を通しています。
 
経営コンサルタントになる前に考えよう
経営コンサルタントは何をする人か
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  1. 2018/06/26(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 Visual「マーケティング・フレームワーク

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 Visual「マーケティング・フレームワーク

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】マーケティング・フレーム

 

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

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■      今日のおすすめ

 『Visual「マーケティング・フレームワーク」』(原尻淳一著 日経文庫)

 

■      マーケティング・プロセス「R⇛STP⇛4P⇛I⇛C」のスペル解りますか(はじめに)

 紹介本の著者は、マーケティングの研究家ではなく、実戦家であるところにこの本の特徴が出る要素が有ります。別の表現をすれば、経営管理部門から転じた、マーケティングについては理論を羅列的にしか知らないA君が、突然「マーケティング・プラン」作成のリーダーになった時、この本に従って、プランをスタートから、作っていけば、しっかりとしたプランが出来上がる。この出来上がったプランについて、まずはQVSAサイクルを回しプランの検証をし、その上で実行に移し、一定の期間の結果をもってPDCAサイクルを回すことで、マーケティング作戦が順調に回り出し、良い成果に結びついていく。本書は、そんなストーリーを確信させる「マーケティング・フレームワーク」集です。

 

 更に、この本を読んで、面白く、そして驚くのは、いわゆる「マネジメント・フレ-ムワーク」を「マーケティング・フレームワーク」として使うことで、“え!”と驚く見事な「マーケティング・フレームワーク」に変貌させていることです。

 

 もう一つ付け加えると、私の不勉強かもしれませんが、「マーケティング・フレームワーク」がこんなに沢山有るのか!と驚きを禁じえません。

 

 この様に感じるのは、最初に戻りますが、本書が「マーケティング・プラン」を作成する手順を念頭において書かれているからです。マーケター、マーケティングを学びたいと思う人にはお勧めの本です。

 

 “ア!いけない”、「R⇛STP⇛4P⇛I⇛C」の答えを言うのを忘れていました。「Research(調査)⇛STP(細分化、標的化、ポジショニング)⇛4P(製品、価格、流通、販促)⇛Implement(実行)⇛Control(管理・改善)」です。マーケティング・プロセス(調査・戦略・プログラム立案・実行・管理/改善)を表しています。本書の構成はこのプロセスに従った構成になっています。マーケティング・プラン作成のストーリー(道順)に従った構成と言い換えても良いでしょう。ページの構成がストーリーになっていることが本書の特徴であり、それを踏まえて読まなければ、読む価値が半減します。

 

 それでは、私が本書を読んで「面白い、驚いた、初めて知った」ことを、次項で、その一部をご紹介します。

 

■      面白い・驚いた・初めて知った「マーケティング・フレームワーク」

 

【面白い「マーケティング・フレームワーク」】

 

 KPI(key performance indicator )をマーケティングにどう使うのでしょう。売上目標をKGI(key goal indicator )として、マーケティングの3大要素の、消費者動向、流通、ブランドイメージ指標にグループ化し、そのグループ毎に、売上を構成する指標に分解すると同時に、それらの分解指標のデータ源を特定し、KPIを決めます。一定期間を決め測定し、いわゆるKPIマネジメントを実践します。さあ、どんな結果が出るか楽しみですね。実践する当事者も面白く、楽しくやれるのではないでしょうか。

 

【驚いた「マーケティング・フレームワーク」】

 

 マッキンゼーの「7S」を「マーケティング・フレームワーク」として使った事例が掲載されています。「7S」の項目で競合他社と項目毎に比較してみます。そこには差別化のポイントや、自社の強み弱み、組織の改善ポイント等が明確に出てきます。  「7S」のこんな使い方が有るのです。ああ驚いた。

 

【初めて知った「マーケティング・フレームワーク】

 

 顧客視点からサービス品質を評価する「SERVQUALモデル」は初めて知りました。SERVQUALはServiceとQualityを合わせた造語です。A. Parasuramanによって開発されたものです。『①信頼性:約束されたサービスを確実に提供すること②反応性:顧客に対するサービス提供の迅速性③確実性:従業員のしっかりした知識と対応態度④有形性:設備や従業員の見た目⑤共感性:顧客とのコミュニケーション』の「5つの指標」と、「5つの指標」を細分化した10項目の「細かな指標」が有ります。

 

 このモデルを参考に、自社の品質指標を作り、競合他社との比較により、差別化を図るための「自社のサービス品質モデル」を作成することも可能になるでしょう。

 

 私がサービス品質として重視する、『顧客視点の「amenity(快適さ)」』は⑤共感性から創出される品質ということがわかります。「5つの指標」の残り4つの指標で何を重視し・取込むか分析・判断することで、差別化サービス品質の仮説が出来上がります。その仮説をQVSAサイクルで検証し、PDCAサイクルに繋げていく事で、競合他社に対し競争優位を確立できるサービスの提供が出来るイメージが、このフレームワークから湧いてくることを実感しました。

 

■      「マーケティングが遅れている日本」に“さようなら”を(むすび) 

 どちらかというと“日本人はマーケティングに弱い”と言われています。

 

 それは「物作り日本」の言葉に象徴されているように、日本人は、目に見えるものには傾注出来るものの、見ようとすれば見えるけれども目の前にはない情報・データ等から、市場の優位を獲得しようとする仕組みを構築する情熱・工夫・技術・能力に弱いのではないでしょうか。

 

 明るい未来を切り開いていくために、グローバル視点・デジタル視点・オムニチャネル視点でのマーケティング力の強化が求められているのではないでしょうか。

 

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。



   http://www.jmca.or.jp/consultantjouhou/3keikonhenomichi/keikon.htm
 
  長い経営コンサルタント経歴の基、書かれたページで、経営コンサルタントになるひとの60%ものの人が目を通しています。
 
経営コンサルタントになる前に考えよう
経営コンサルタントは何をする人か
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信頼できる経営コンサルタントとは
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  1. 2018/05/22(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 コトラーの「マーケティング4.0」

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 コトラーの「マーケティング4.0」

 「経営コンサルタントがどのようなを、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めのは?」という声をしばしばお聞きします。

 日経営士協会の経営士コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『「コトラーのマーケティング4.0」

     Moving from Traditional to Digital(スマートフォン時代の究極法則)』

  (フィリップ・コトラー著 恩蔵直人監訳 藤井清美訳 朝日新聞出版)

■      「マーケティング4.0」の時代とは(はじめに)

 「マーケティング1.0」~「マーケティング3.0」に続く「マーケティング4.0」というコンセプトに出会ったのは、このを手に取った時が初めてでした。

 著者は、『「マーケティング」は「マーケティング・ミックス(4P)」を出発点とするのではなく、「STP」を中心にすべき』と主張します。その論拠は、突き詰めると「STP」は戦略型、「4P」は戦術型であるとします。

 従って、「マーケティングX.0」の表現で「マーケティング戦略」の時代に伴う変化を説明する時は、「STP」を念頭においているのです。そして「マーケティング戦略」は、「マーケティング1.0」で表される生産主導(製品中心)のマーケティング、「マーケティング2.0」で表される顧客中心(消費者志向)のマーケティング、さらに人間中心(消費者の精神的側面も含む価値観・主観を重視)の「マーケティング3.0」へと大きく変化してきたと主張します。その変化は、社会・経済的変化と並行していると説明します。従って「マーケティング3.0」の人間中心のマーケティングの到達点は、「人間的価値(健康・安全・環境・社会的責任等)を支持し表現する」製品・サービス・企業文化を生み出すことになると言います。

 それでは、「マーケティング4.0」と著者が定義づけるマーケティングはどの様なものなのでしょう。それはインターネットやスマホの技術的発展により、デジタル・マーケティングと伝統的マーケティングが融合(オムニチャネル化)し、ICTの世界では、人々は人間的な触れ合い(ハイタッチ)を強く求め、ある種のコミュニティー社会を作り、そのコミュニティー社会でのデジタル・コミュニケーションにより製品やサービスを知った顧客により、購入・推奨に至る道筋(カスタマー・ジャーニー)が形成されて行くようになり、製品やサービスは、より個人嗜好のもの(パーソナライズ、カスタマイゼーション)に向かっていくと説きます。この流れを「マーケティング4.0」と著者は定義づけます。そしてこの流れの変化に対応した「マーケティング4.0戦略」が必要と説くのです。

 「マーケティング4.0」時代のマーケティング戦略は、どの様なものなのでしょう。著者は『嘗て提唱してきた「STP」等の伝統的マーケティングが、デジタル・マーケティングにとって代わられるものではない。それぞれのアプローチの対象となる、購入に至る道筋(カスタマー・ジャーニー)で役割を交代しながら、共存すべきものだ』と強調します。それを次項で見てみましょう。

■      伝統的マーケティングと「マーケティング4.0」時代で何が変わったか

【購入に至るカスタマー・ジャーニーの変化-「4A」から「5A」へ-】

 『接続性が高まるデジタル時代の、顧客とブランドとの繋がり方を見ると、話がうますぎる広告メッセージに混乱した顧客は、友人や家族などの社会集団の信頼できる情報源に頼っている。このような状況の中で企業は自ら発信するメッセージの量の増大ではなく、他社より目立つ、そして重要なタッチポイント(ブランドと顧客の接点)で顧客と有意義な繋がりを築くことである』と著者は指摘します。加えて『「マーケティング4.0」の最終目標である、顧客をブランドの忠実な推奨者とするために必要なのは、ブランドからのわずか一瞬の予期せぬ感動だ』と言い切るのです。

 これを実現するためには、企業は、マーケティング施策(アプローチ)を企業視点から顧客視点に転換していく必要があります。それは「カスタマー・ジャーニー(顧客の購入・推奨に至る道筋)」というアプローチ・フレームワークをデジタル時代のものに転換の上、分析する必要性を意味します。

「マーケティング4.0」では、「カスタマー・ジャーニー」をデジタル時代に即して、接続性以前の時代の『4A(①aware=認知②attitude=態度③act=行動④act again=再行動)』から、接続性の時代の『5A(①aware=認知②appeal=訴求③ask=調査④act=行動⑤advocate=推奨)』へ転換・変化させていく必要を説きます。

 接続性の時代に、「カスタマー・ジャーニー」を『4A』から『5A』へと変えるべき要因として、『4A』時代の、個人的な「態度(②attitude)」が、『5A』時代には、顧客を取り巻くコミュニティーの影響を受け「訴求(②appeal)」と「調査(③ask)」のプロセスに変化すること、更に、『4A』時代の、ブランドに対するロイヤリティーを示す「再行動・再購入(④act again)」が、『5A』時代には、コミュニティーの繋がりによる「推奨(⑤advocate)」という道筋にグレードアップしていくことを挙げています。

 「顧客をブランドの忠実な推奨者」にするためには、『5A』のそれぞれのプロセス間のコンバージョン率を如何に上げるかが、マーケターの課題であるとするのです。

 デジタル時代のマーケティング戦略を身に付けるために、是非、詳細について書をお読みください。

【マーケティング・ミックスの変化】

 マーケティング・ミックスについても、貴重な提言が有ります。売り手からの視点『4P(product、price、place、promotion)』、買い手からの視点『4C(customer value、cost、convenience、communication)』については、皆様お馴染みと思います。

 著者は、デジタル時代(接続性の時代)の『4P』は次の『4C』となるべきと主張します。その『4C』とは、顧客が製品開発に参加する「co-creation(共創)」、価格は市場の需要、顧客のニーズなどにより変動する「currency(通貨)」、流通チャネルは顧客と接続性の高い「communal activation(共同活性化)」、プロモーションは企業と顧客が能動的に商業的価値を獲得することが期待される「conversation(カンバゼーション)」です。とても示唆的な提言です。この戦術を自分のものとするためにも、詳細を書から読み取ってください。

■      デジタル時代のマーケティング(むすび)

 総務省の「29年度情報通信白書」では、世界のスマホ保有比率は、2019年には全人口の約60%に達すると予想しています。また日本の世帯ベースのスマホ保有比率は、2016年時点で全世帯の72%となっています。

 スマホ時代は2010年ぐらいにスタートし、急激な伸びを示しています。並行して、様々なアプリやSNSが変化を遂げつつ拡大しています。

 マーケティングという思考で、これらを捉えることが大切です。同時に、自社のデジタル時代のマーケティングがどのように変化していくべきか問われている時代でもあると思います。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

   http://www.jmca.or.jp/consultantjouhou/3keikonhenomichi/keikon.htm
 
  長い経営コンサルタント経歴の基、書かれたページで、経営コンサルタントになるひとの60%ものの人が目を通しています。
 
経営コンサルタントになる前に考えよう
経営コンサルタントは何をする人か
有能な経営コンサルタントが持っている資質
なぜ経営コンサルタントに依頼するか
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  1. 2018/04/24(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】IoTの神髄に迫る

■■経営コンサルタントのお勧め図書】IoTの神髄に迫る

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『INDUSTRIE4.0「日本の製造業はIoT先進国ドイツに学べ」』

(熊谷 徹著 洋泉社発行)

■      ドイツ在住の著者が発信する「IoTの真実」を傾聴しよう(はじめに)

 今回この著書をご紹介するきっかけは、日本経営士協会九州中国支部の原田剛先生(日本経営士協会メルマガ656号【会員紹介】欄で【自己紹介】をしておられます)

からお便りを頂いたことに始まります。原田先生は、私が昨年の8月に本欄でご紹介した『インダストリー4.0時代を生き残る!中小企業のための「IoTとAIの教科書」』(島崎 浩一著)を読まれ、そこには書かれていない、「IoT」「インダストリー4.0」についての真実・表裏が、『日本の製造業はIoT先進国ドイツに学べ』には書かれている、とアドバイスを下さいました。併せ、日本経営士協会のメルマガ、経営士のブログの読者の皆様に今回の紹介本を紹介してあげて欲しいと仰って下さいました。

 「経営コンサルタントの本棚」を通じ、支部の違う原田先生と新たな繋がりが出来ましたことは本当に感謝です。

 今回の紹介本の特異性は、著者の熊谷氏が1990年以来ドイツ・ミュンヘン市に在住するジャーナリストであることにあります。加えて、国家プロジェクトの「ドイツ版IoT」「インダストリー4.0」の生みの親の一人である学術機関「ドイツ工学アカデミー」の会長ヘンニッヒ・カガーマン教授(元SAPのCEO)と直接・緊密なインタビューを通じて、微に入り細に入り、光の部分に伴う影についても聞き出し、読み解いている点です。

 更には、ドイツ国内の「IoT」の具体的な進展状況を、著者自身の目で確認しています。それは他のIoTに関する著書のように、誇張的でなく、夢を語るのでもなく、現実の状況を有りのままに伝え、今の日本にとって何が課題かを明確にしているのです。そこがこの紹介本の素晴らしいところです。

 次項で幾つかの「IoTの真実」を示します。それは日本ではまだ認識されていない、或いは意識の低い事項が多くあります。字数の関係もあり全てをご紹介できません。

 IoTに関心を持っている方は是非この紹介本を手に取ってお読みください。他のIoT関連の本にはない、「IoTの真実」を見いだせるでしょう。IoTに対する正しい方向感をもって、この課題に対処していく施策を見いだせるでしょう。

■      知っておきたい「IoTの真実」

【インダストリー4.0の真の狙いは「スマートサービス」】

 IoTと言えばすぐ頭に浮かんでくるのは、「スマート工場」「マスカスタマイゼーション」「サービタイゼーション」です。しかし、カガーマン教授は「製品の輸出や、海外での組み立てだけではなく、製品の製造ノウハウをソフトウエアとして、デジタル・プラットフォームにアップロード(公開)することによって、外国の顧客に販売するという方式も導入すべき。さらに、インターネットで繋がれた製品や部品が発信するビッグデータを分析することよって、能動的に顧客に新しいサービスを提供すべき。」と主張し、これを「スマートサービス」と定義し「インダストリー4.0」の核だと、革命的な提言をしています。

 カガーマンが目指すのは、製造業とサービス業の融合であり、製造業におけるサービスの収益に占める比率を、デジタル化によって高めることが重要と訴えます。

 この「スマートサービス」の背景には、知的財産の保護、個人情報保護の問題など解決しなければならない問題があります。また、IoTがインターネットによって繋がることが前提であるが故に世界的問題であるのです。

 ここで重要になってくることが次のテーマであり、日本(政府)が出遅れている、「国際標準化」の問題です。

【国際標準化をめぐる独米の接近】

 知的財産の保護、個人情報の保護の問題も、国ごとに法律や考え方の違いから、世界的なルールが必要ですが、これについては問題の指摘にとどめます。

 喫緊の課題は、IoTの重要な下部構造であるデジタル・プラットフォームやデーターウエアハウスなどをバーチャル空間に設計、構築するには「参照アーキテクチャー(reference architecture)」(設計、構築に必要な言語・地図)の「国際標準化」が必要です。各国でバラバラに開発したIoTシステムでは相互のコミュニュケーションが出来なくなることを避けるためです。

 ここで、IoTシステムの国際的標準規格を開発するため、ドイツのIoT推進機関「プラットフォーム・インダストリー4.0」と米国のIoT推進団体「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」が2016年3月スイスで開いた会議で、提携の合意をしました。IICには、日本の企業では、日立、東芝、トヨタ、NEC、富士通横浜国大などが参加しています。

 著者は、「国際標準規格の開発の段階で、日本も責任あるIoT推進組織(政府、経済界、学界、労働団体、企業などで構成)を作り、積極的に国際標準規格作りに参画しなければ、日本のIoT推進に支障が出る」と主張します。

【中小企業をめぐるドイツの現状】

 ドイツの中小企業の企業数の比率は、99%強とほぼ日本と同じで、経済界における重要性は、日本と同様です。現状では、ドイツの約60%の中小企業が「インダストリー4.0」の利用に疑念を抱いているというデータも出ています。ドイツでは、中小企業の参加しなければ「インダストリー4.0」の成功はないとされており、一つの障害となる可能性もあります。

 これに関して、著者は、カガーマンのインタビューを引用しながら、「現在の国際競争力を失いたくないのであれば、デジタル・プラットフォームを使うインダストリー4.0では、秘密にすべきノウハウとプラットフォーム上で公開して構わないノウハウを切り分け、新しいイノベーションから取り残されないよう前向きに対応すべき」と主張しています。

【日本の「インダストリー4.0」への取り組みの現状と課題】

 日本に於ける「インダストリー4.0」への取り組みは、政府レベルでは、ドイツよりも5年遅れた2016年の日独の「IoT・インダストリー4.0の協力に関する共同声明(2016年4月)」に始まります。

 また、民間レベルでは、2015年6月に研究団体「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IIC)」(日立、トヨタ、三菱重工、富士通、NECなどの大企業のほか多数の中小企業が参加)が設立されました。2015年10月に「IoTコンソーシアム」(2017年1月現在で2,812社の法人会員が参加。経済産業省も参加しているが、ドイツのように政府が主導権を持つ形ではない。)が設立されました。

 著者は、日本の現状と課題に関し「IoTという21世紀最大の技術革命に乗り遅れることなく、また負の側面への十分な対応(雇用の問題、新たな職業訓練の必要性、貧富の差の拡大への対処等)を考慮した場合、日本政府が主導的な役割を演じるべきである」と主張します。

■      日本はドイツからの学びをどう生かすべきか(むすび)

 著者は、紹介本を書いた動機を次のように述べています。『ドイツに住み、「インダストリー4.0」を目の当たりに見ていると、「ドイツの中小企業はこの変化に耐えられるだろうか」という強い疑問を持った。また、「米独が世界標準を確立し、日本は蚊帳の外に置かれるのではないか」という強い危機感を抱いた。』

 この著者の「インダストリー4.0」に対し抱いている疑問・危機感を読むにつけ、IoT社会に対応していく危機感が、日本社会には未だ不十分と思わざるを得ません。それぞれの立場から危機感をもって「IoT」「インダストリー4.0」に対応していくべきではないでしょうか。競争相手は先を走っているかもしれません。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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  1. 2018/03/27(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日経大予測 日本の論点2018  年初に当たりこれからの日本の論点に注目してみよう

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日経大予測 日本の論点2018  年初に当たりこれからの日本の論点に注目してみよう

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『日経大予測2018「これからの日本の論点」』

(日本経済新聞社編 日本経済新聞出版社)

■      年初に当たりこれからの日本の論点に注目してみよう(はじめに)

 新しい年のスタートの時期に当たり、前月に続き、新年のPESTに係る本をご紹介します。

 紹介本は毎年日本経済新聞社から出版される恒例の本であり、表題の「2018『これからの日本の論点』」が出版されると、「もうそんな時期になったか」と思わされます。

 しかし当然のことですが、内容は新しい年に何が起こるかを予想した内容で、2018年版は、「経済・金融のこれから」「産業・企業はこれからどうなる」「政治・国際情勢・世界経済はこれからどうなる」の3Chapter、25項目に亘って日本経済新聞の記者が書き下ろしたものです。

 日頃からPEST(政治・経済・社会情勢・技術)に関心を持ち、新聞やテレビなどから情報を取集しておられる方にとっては復習的になるかもしれませんが、改めて25のテーマについて読まれると、意外と新たな情報を発見するのではないでしょうか。

 25のテーマの中には、日頃のニュースではあまり報じられていないもの、報じられても表層的で、深く分析的に報道されていないものがあります。そのような中から「注目したい日本の論点」を選び、次項でご紹介します。

■      注目したい日本の論点

【政府の働き方改革で本当に生産性は上がるか?】

 紹介本によれば、働き方改革には3つの背景があるとしています。第1は労働力不足、第2はグローバル化、第3は「第4次産業革命」の進展であるとしています。

 第1の労働力不足については、『働き手が少なくなっても、企業・経済が成長するためには、一人当たりの付加価値(GDP)を高めること、すなわち生産性の向上が欠かせない。生産性については、日本の生産性(一人当たりドル建てGDP)の水準は、OECD加盟35か国の中で、日本は2000年には2位だったものが、2015年には20位になっている。加盟主要7か国(日本、米国、英国、ドイツ、カナダ、フランス、イタリア)の中では、イタリアに次いで下から2番目まで下がっている。また、米国の調査会社コンファレンス・ボードとコンサルティング会社マーサーが共同で、アジア11か国の2008~2016年の生産性の伸び率を算出した結果、高い方ではインド6.47%、中国5.82%と続いたのに対し日本は0.29%と韓国やシンガポールをも下回り最下位という調査結果が出ている。要因としては画期的な商品開発の停滞や、成長部門への投資が始まったばかりであること、サービス業やホワイトカラーの生産性の低さなどを挙げている。生産性を向上させるという意識が低かった結果とし、働き方改革による向上が期待される。』と紹介本は主張します。

 第2のグローバル化については、『競争が世界レベルになり、日本企業になお残る年功色のある人事・賃金制度が障害となっている。有能な外国人人材の取り込み等、透明性の高い成果重視の人事・処遇システムに改めていく事が求められる。』と主張します。

 第3のデジタル革命の進展については、『機械に任せられる仕事は機械に任せ、人間は、創造性等が求められる人間でなければできない仕事に、特化すべきである。』と主張します。

 私の私見ですが、最近の大手企業の製品データの改ざん等のニュースを目の当たりにし、また上記のような日本の生産性の伸びの低さを見て、経営層も現場も過去の日本の製品・サービスの優秀さに驕ることなく、現状を謙虚に認め、グローバルな競争で勝てる、広い意味での働き方改革とその仕組み作りを「革命」的に進める所に来ているように思えます。

【その他の注目すべき『日本の論点』】

 字数の関係もあり、また、私の不十分な解説より直接読んで頂いた方が読者の皆様のお役に立つと思い、紹介本の中で、私が特に注目した論点(項目)を以下に示させて頂きます。

□   「後退だけではないグローバル化

□   「中国『一帯一路』の磁力~塗り替わるアジア通商秩序~」

□   「意外に堅調な日本企業。『頭打ち』から『成長』への転換が出来るか?」

□   「海のアジアに目を向けよ~インドネシアとフィリピンに注目しよう~」

新聞記事などでは得られない知見が読み取れることと思います。是非手に取ってお読みください。

■      2018年は転換点の年。PESTの動きから目を離すな(むすび)

 「日本の論点2018」から読み取れる共通のキーワードは「新年は『転換点』『変革の時』」でしょうか。新年は、PEST(政治・経済・社会情勢・技術)のどれをとっても見落とすことのできないものばかりです。“変化に乗り遅れないぞ”の心意気と実践・実現が求められているのではないでしょうか。

 その為には、従来の企業文化・慣行・既成概念を超越して達成・実現する覚悟が求められているような思いがします。 

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

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  1. 2018/02/27(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 新年の世界と日本経済の真実

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 新年の世界と日本経済の真実

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

『ついにあなたの賃金上昇が始まる!』(高橋洋一著 悟空出版)

■         「世界と日本のフェイクニュースを暴く」は必読(はじめに)

 「フェイクニュース」という言葉は、トランプがアメリカの大統領になってから、日常的言葉として使われるようになりましたね。それでは「フェイクニュース」は、以前は無かったのでしょうか。以前からあったのです。日本にもあったのです。私たちは、真実を追求することもなく、専門的分析力に欠けたマスコミなどが流すニュースを殆んど鵜呑みにしていたのではないでしょうか。

 今こそ、「何が“真実”で何が“フェイク”か」をしっかりと認識し、新しく迎える、新年の2018年を意味のある年にしようではありませんか。

 その様な意味で、紹介本こそ、私たちが抱いている判断が“真実かどうか”を明らかにしてくれます。是非紹介本を読んで頂き、「世界と日本の真実」を把握し、私たちが持っている“フェイク”を改め、そこから生まれてくる「真摯に取り組めば生まれてくる明るい日本の将来」に向かうスタートの年にしませんか。

 紹介本には、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、日本について貴重な知見、しかも、それは著者独自のデータに基づいた知見をベースとした「世界と日本の真実」が書かれています。読めば“エッ!そうなのか”と自分の不知を思い知らされることが多くあります。

 紹介本の中で語られている“真実”のいくつかを次項でご紹介しましょう。

 

■         これだけは知っておきたい「世界と日本経済の真実」

【トランプの米国を読み解く】

 私たちは、トランプのアメリカについて、何時もひやひやしているのではないでしょうか。しかし、著者は様々な情報を背景に、冷静に見ています。著者は、トランプはビジネスマンであり、基本的には間違ったことはしない大統領と見做し、万が一何らかの要因で、辞任・弾劾があっても、ペンス副大統領が後を引き継ぐから心配ないと語ります。TPPからアメリカが抜けても、アメリカの抜けたTPP+日米のFTAで上手く行くと語ります。

 著者は、安倍首相とトランプの関係も、私たちの知らない具体的人脈で繋がれており、一見アメリカ追随に見える日本の諸政策も、背景にある深慮遠謀を示し乍ら、意味あるものとして説明しています。納得・謎解きとして読むことが出来ます。

 

【ICT投資による成長によって、人口減少でもGDPは増える】

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が2017年4月に発表した「将来推計人口」にマスコミが飛びつき“これは大変なことになるぞ”と騒ぎ「経済成長が低くなる」との悲観論を蔓延させています。しかし著者は、マスコミは一方で、総務省の発行した「情報通信白書」にある、ICT(IOT、AI)による経済成長(GDPベースで上乗せ132兆円/2016-2030年)は、まったく報道していないと指摘します。

 つまり、人口減少によるマイナスインパクトがマイナス0.7%/年に対し、ICTによるGDPの成長上乗せ効果は最低でも1%/年、総務省の推計による成長シナリオでは2%/年の上乗せ効果があると指摘します。人口減少があっても経済成長が上昇していく事実を見逃しているのがまさに「フェイクニュース」だと著者は指摘します。勿論ICT以外にも、少子高齢化社会に向けた、新たな価値の商品・サービスの開発・商品化もGDPの成長に上乗せ寄与する可能性も十分あると思います。

 “フェイクな悲観論”に乗り経営を低迷させるか、“真実に基づき”前向きな経営をするか、貴方が経営者ならどちらを選択しますか。

 

【日本のバランスシートは問題なし】

 財務省は、日本国内向けには一人当たりの国の債務残高は8百万円と言いながら、国外に対しては日本の財政は健全と二枚舌を使っていることは周知の事実です。しかし、財務省は日本の財政の健全な理由については何の説明もありません。

 「日本の財政は日銀との連結ベースで、資産と負債を相殺すれば、日本の債務残高は0兆円で全く問題なし」等というニュースはまったく報道されません。会計の知識があれば当たり前のことではないでしょうか。勿論、経済成長やインフレに合わせ、日銀の金融政策が適正になされることが前提ですが。

 

【完全失業率が構造失業率に近づく2018年には賃金上昇大!】

 構造失業率(完全雇用の状態の時の失業率)については、経済理論的には諸説ありますが、著者はこれを2%台の半ばとしています。『完全失業率(職を求めていても職がない状態)が構造失業率に達してから半年から1年くらいの間に賃金は明確に上がりだす』という見込みは経済的・統計的に正しい理論と著者は語ります。2017年6月に発表された完全失業率は2.8%であり、2018年には完全失業率が構造失業率に達することはほぼ確実と著者は語ります。

 つまり2018年には賃金の上昇がはっきりしてくると著者は見ています。そうするとどうなるのでしょうか。著者は、経済理論的に、この時点からインフレが始まると見ます。そして日銀の目標インフレ率2%が意味を持ってくるのです。ここからがまさに日銀の腕の見せ所となるところです。つまり適切なインフレ率の中で、適切な経済成長を実現していくという目標に向かって、日銀の新たな動きが出てくるのです。

 国民全体に適切な所得が行き渡る時代、そんな時代の再来が期待できる時代がすぐそこまでやって来ているのではないでしょうか。

 

■         2018年は「世の中を正しく見る目」で経営のレベルを上げよう(むすび)

 経営に係る皆様は、新年の2018年はどの様な年にしたいですか。私はこの様な年になるだろうと期待しています。それは、様々な“フェイクニュース”に惑わされた悲観論にエネルギーを費やすことを止め、ICTをはじめとした新たなテクノロジーを用い、「新たな価値を生みだす創造性豊かな商品・サービスの開発・商品化」、加えて、「生産性向上に資する「仕事の流れ」の創出」に経営の視点を向ける節目の年と考えます。

 「世の中を正しく見る目」を常に養いながら、経営のレベルの革命的向上を計る年にしたいものですね。

【酒井 闊プロフィール】

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  1. 2018/01/23(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】トム・ピーターズを読む

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】トム・ピーターズを読む

 「経営コンサルタントがどのようなを、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めのは?」という声をしばしばお聞きします。

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■      今日のおすすめ

『「経営革命」〔上〕〔下〕〈Thriving On Chaos Handbook For A Management Revolution〉』

(トム・ピーターズ著 平野勇夫訳 野中侑次郎解説 TBSブリタニカ)

■      トム・ピーターズは何をした人?(はじめに)

 英国エコノミスト誌が、ドラッカー(故人)と共に「現代世界の思想的リーダー」として挙げている、トム・ピーターズとは何をした人でしょう。先ずは、何といっても「マッキンゼーの『7つのS』」を生み出したことでしょう。また、ボブ・ウォータマンと共著で、20世紀ビジネス出版界の大ヒットである「エクセレントカンパニー」を発表したことでも知られています。トム・ピーターズは主張します。『「エクセレントカンパニー」で導き出した8つの教訓(①行動の重視②顧客に密着する③自主性と起業家精神④人を通じての生産性向上⑤実践的価値観に基づく行動⑥基軸から離れない⑦単純な組織、少数精鋭⑧硬軟両面を持つ)は依然有効である。彼が引用した「エクセレントカンパニー」の幾つかが凋落したのは、教訓に従わなかっただけなのだ』と。

 今回の紹介経営革命」は、「エクセレントカンパニー」「エクセレントリーダー」に続く三作目で、彼の“三部作の集大成”と言える著書です。

 「世界を変えたビジネス思想家」(編訳 ダイヤモンド社)の中では、ドラッカーを“マネジメントの父”と表現し、トム・ピーターズを“マネジメントの教祖”と表現している事にも興味を覚えました。

 それでは題に入りましょう。紹介経営革命」の原題は「Thriving on Chaos Handbook For A Management Revolution」で、著者は“カオスを当然のものとして受止め、「カオスに栄える」すべを学ぶ”としています。本書は「カオスに栄える」ために、“いついつまでに○○せよ”という命令形の「45項目の処方」として纏め上げています。企業経営の要諦を5つの領域(①顧客に対する対応に執念を燃やす。②企業のあらゆる分野でイノベーションを継続すること。③組織に繋がる全員を、企業活動に参画させ、利益を分かち合うこと。④変化を愛し、人々を奮い立たせるビジョンを行き渡らせ、それを共有するリーダーシップを打ち立てる。⑤今日の環境にふさわしい“まともなこと”を判断する簡素な支援システム(仕組み)を設け、それを活用して経営を管理すること。)に纏め、①~④領域は各10項目、⑤領域は5項目、トータル45項目の処方を提示しています。著者は、この45項目の相互関係を良く理解し、その上で、どの処方から「革命」の手を付けるかを決める『経営管理のハンドブックとして役立ててほしい』と言います。「革命」という言葉を著者が敢えて使うのは、「具体的好事例」に基づき、「既成観念」を捨て、「新たな企業経営の原則・基本」の実践を提言していることです。本書は1989年に初版が発行されました。いわば古典と言ってもいいかもしれません。その古典から、何を読み取るべきかを、次項で見てみたいと思います。

 

■      古典と言ってもよい「経営革命」の“処方”は今も生きている

 「経営革命」は、1987年、東証一部上場企業の時価総額が、ニューヨーク証券取引所の時価総額を抜いて、世界一となった時代に、著者がアメリカの企業に向けて、勢いのある日本企業も競争相手の一つに含め、競争相手に勝つための戦略を書いたものです。著者は、「国際性を志向せよ-処方5-」の中で、「世界で勝つためには、まず日本市場で成功せよ」と言い、日本市場で「経営革命」をして成功したアメリカ企業を紹介しています。日本市場で成功した企業は、自国を含めた世界の持続的成長企業になっているのです。

 しかしモデルの日本は、成功の上に胡坐をかいてしまったのでしょうか。今は、当時のアメリカと日本の立ち位置が逆転しているように思えます。特にアメリカの世界の先端を行くデジタル技術により、立ち位置の差は更に大きくなっていると言えるかもしれません。30年前のアメリカ企業に向けて発信した“処方”が、勿論現在のアメリカ企業に向けても生きていますが、追いかける立場になった日本企業の企業経営論として有用であり、今も生きていると思います。

 ページの関係もあり多くは紹介しませんが、これからの第4次産業革命時代にこそ必要な、大切な企業経営管理の提言と思われる一部をご紹介します。

【専門化してニッチ市場を創出し製品を差別化せよ-処方1-】

 これは「競争戦略ポジショニング(ポーターの3つの基本戦略)」と同じこと表題にしています。しかし違いは、具体的成功事例を多く挙げ、そこから成功するための「革命」的な新たな企業経営戦略の実践の提言に多くのページを割いていることでしょう。“-処方1-”は“処方45”の一部ですが、本書には、この様な、「革命」的な企業経営の原則・基本が多く書かれています。時代・企業環境が変わっても大切にすべき原則・基本は、まさに「ハンドブック」として座右に置いておきたいですね。

【掛け値なしの誠実さを求めよ-処方45-】

 著者は“誠実さ”を当たり前のことと言い、最後を締めくくります。「専門化してニッチ市場を創出し製品を差別化せよ-処方1-」の目標を実現するものが、「現場の尊重・重視」と、それとセットになった「トップの“現場を巻き込んだ”独創的、自己革新的な『ビジョン』と『全員の情熱的行動』」が必要と“処方2~44”で主張します。

 それらを機能させるために、下請け、顧客を含めた全体の相互的“信頼・誠実さ”を生み出す必要がある。その“信頼・誠実さ”がお互いをWIN-WINの関係にし、成功企業に導くと主張します。

 

■      今こそ「経営革命(Thriving on Chaos-カオスの中で成長する‐)」(むすび)

 繰り返しになりますが、第4次産業革命と叫(さけ)ばれている時代に、新しいデジタル革命や、新しい企業環境に目を奪われてしまい、企業経営管理の原則・基本から目が離れがちです。

 今まで築き上げて来た「企業価値」を守り、更に高めていく事と並行して、新しい企業環境(デジタル革命など)に対応する必要があるのではないでしょうか。

 そのような想いで「経営革命」をご紹介させていただきました。紹介本には「革命」の題にふさわしく、“これは是非やってみよう”というものもあれば、“ここまでやるか!”というものもありますが、飽くまでも“ヒント”としてそれぞれの企業に“相応しい形・レベル”で取り入れていくことで、有効に活用できると思います。

 

【酒井 闊プロフィール

 

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  1. 2017/10/24(火) 12:05:00|
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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】改正民法3年内施行 準備は

■■経営コンサルタントのお勧め図書】改正民法3年内施行 準備は

 「経営コンサルタントがどのようなを、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めのは?」という声をしばしばお聞きします。

 日経営士協会の経営士コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『3時間でわかる!「民法改正」』(熊谷則一著 日経済新聞出版社)

■      民法債権法分野の改正は明治29年制定以来120年ぶり。準備は(はじめに)

 民法の債権法(契約法)分野は、いずれの企業にとっても、関係の深い分野です。2017年5月に国会で成立し、6月2日に交付されました。施行は2020年の1月~4月が有力視されています。

 施行までには2年6か月位有りますが、とにかく広範囲の改正ですので、企業法務で使用する契約書式一覧を見直す必要があるでしょう。政令により、施行令と共に「経過措置」が規定され、「新法施行前に発生した債権に関する規定は、旧法による」とされますので、施行後暫くは、新旧双方に目配りをする必要があります。

 改正はどの位広範囲か、改正領域項目(有斐閣方式による)を羅列してみましょう。【(民法)総則】については、①心理留保②錯誤③代理権の濫用④消滅時効、【債権総則】については、①法定利率②履行の強制③債務不履行による損害賠償④債権者代位⑤詐害行為取消し請求⑥多数当事者⑦債権の譲渡⑧債務引受⑨相殺、【債権各論】については、①危険負担②契約の解除③売買④消費貸借⑤賃貸借⑥請負です。如何に広範囲に亘って改正がなされるかお分り頂けると思います。

 これらの改正は、次の三つの観点から改正されました。一つは「考え方の一化」(消滅時効の改正など)。二つ目は「原則や通説の明文化」(「瑕疵担保責任」が、法定責任説ではなく契約責任説が採用され「契約不適合責任」に変わる等)。三つめは「ルール(規律)の現代化」(法定利率の決め方など)です。

 それでは重要な、あるいは企業業務に関係の深い改正項目を、次項でご紹介します。

■      押さえておきたい「民法改正」のポイント

【債権の消滅時効における原則】

 現民法は、消滅時効は「権利を行使することが出来る時」という客観的な算定点から「10年」という時効期間を定めています。しかし、債権者の現実的権利行使の機会を確保するという観点からは、「債権者が権利を行使することができることを知った時」という主観的な起算点から消滅時効が進行すべきと考えられ、主観的起算点から「5年」という消滅時効が加えられました。加えて、職業別の短期消滅時効に合理性はないとして、工事代金・医師の債権(3年)、商品の売掛金・弁護士の債権(2年)の規定は削除されました(商事消滅時効〈5年〉も削除されました)。生命身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効は10年⇒20年に、不法行為による主観的起算点からの消滅時効は3年⇒5年に変更されました。

【法定利率の引き下げ】

 法定利率は、契約で利率が定められていない場合や損害遅延金などに適用される利率ですが、これまでは年5%と定められていましたが、3%に引き下げられることに加え、ここをスタートにし3年毎に、政令による「基準割合(直前基準割合と当期基準割合の差額(1%未満切り捨て)」で計算された変動幅で変動することになりました。(なお商事法定利率〈商法〉6%の規定は削除されました。)

【事業資金の個人保証における保証意思の確認―公正証書の作成が原則―】

 改正法では、事業資金の個人保証に関し、取締役等の役員・大株主などを除く個人の保証人を保護する規定を創設しました。事業資金の借り入れの保証人となるためには事前に公正証書が作成されていなければ、保証契約の効力が生じないとしています。  また、主債務者に対し、保証人に対する財産及び収支の状況などの情報提供義務を課しています。

【定型約款(インターネット取引など)に関する規定の創設】

 企業が多数の消費者と取引を行う場合、定型約款が使用されることが多いですが、今までは、定型約款に関する規定が有りませんでした。そこで「定型約款に合意した者、定型約款が表示されている場合は合意があったとみなされるが、定款約款の条項の中に、相手の権利を制限し、又は義務を加重する条項で、信義則に反し相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、合意しなかったものとみなされる」との原則規定が創設されました。この他「定型約款の開示義務」「定型約款の変更」などについても新たな規定が設けられました。

【「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に変わる】

 『売買の目的物に「隠れた瑕疵(契約の時には見えなかった期待された品質の欠如)」があれば買主は売主に瑕疵担保責任を追及できる』というのが現行法です。現行法に基づき、買主は売主に損害賠償請求、契約解除(代金返還)の二つの方法が認められていました。

 改正法では、「瑕疵担保責任(期待された品質の欠如の責任)」を「契約不適合責任(種類、品質、数量に関して契約の内容に適合しないものに対する責任)」と定義を変えました。これは契約の対象範囲を、現行法の「特定物」という硬直的な考えから、「幅の広い、多様性のある契約対象物」という考え方に変えたのです。

 この結果、改正法では、買主の売主に対する責任補完請求を、上記二つの方法に加え、履行追完請求、代金減額請求という二つの方法を新たに加えたのです。

【寄託契約は、「要物契約」から「諾成契約」に変わる】

 寄託契約の典型例は倉庫業です。倉庫業では、倉庫に預ける品物の保管を倉庫業者が行うケースと、倉庫業者は場所を貸して、保管物は所有者自身が行うケースが有ります。寄託契約が該当するのは前者のケースです。

 寄託契約は現行法では「要物契約」、すなわち、受寄者(倉庫業者など)が寄託物(保管物)を受け取ることによって契約が成立するという考えに立っていました。改正法では、寄託契約を「要物契約」ではなく「諾成契約(契約が、モノの移動が無くても契約した時点で成立する)」としたのです。この結果、改正法では、モノの移動がない間の、寄託者及び受寄者双方に、正当な権利の主張・請求を認めたのです(詳細は紹介をお読みください)。つまり、経済活動の多様化に応じ、法律面での対応をしたのです。

【その他の改正】

 その他多くの改正が有ります。最終的には、法務省のH・Pの新旧対照条文で確認するのが良いでしょう(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00175.html)。「敷金」の明文化や「敷金返還義務の原則化」、「賃貸借関係」についての変更など「エッ」と思うような変更があります。

■      民法改正」を機に自社の法務体制を検証しよう(むすび)

 「企業法務」は、どうでしょう、貴社での注力度は上から何番目ですか。本業に対する注力度と大きく離れておられたら、これを機に、本業の注力度と同レベルまで高めてはいかがでしょうか。

 何故なら、本業は「業法(事業に関連する法規)」に基づいている場合が殆どです。先ずは、そこから始めませんと、本業に大きな痛手を受けるケースが出てきます。

 繰り返しになりますが、改正民法への対応準備を機に、貴社の「企業法務体制」を検証し、必要ならば見直しをしてみてはいかがでしょうか。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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  1. 2017/09/26(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本の未来を明るく出来る

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本の未来を明るく出来る

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『財務省と大新聞が隠す「本当は世界一の日本経済」』

(上念 司著 講談社α新書)

■      悲観論で覆われた彼方には「明るい未来を示す真実」が存在する(はじめに)

 最初に著者は、読者に投げ掛けます。『省益に反するという理由で真実を隠す「財務省」、専門的分析力のある人材に欠け、「記者クラブ」で配布される紙を適当に編集し記事にする「大新聞」を信用せずに、改めて日本の問題点の「メタ(meta=一般的情報の背後にある、決断の根拠にできる事実情報)」を探求し、そこにある真実は何かを判断し、日本の将来を見通してみよう』と。

 そこに、「一般的に報道されている問題だらけの日本ではなく、引き続きGDP世界第二位を堅持する明るい日本に出来る真実を見出せる」と著者は言います。

 そのように主張する著者の論拠は、統計的分析、グローバルな経済学説に基づく分析にあり、信頼性の高い指摘と、私は思料し、皆様にご紹介する次第です。

 前置きはこのぐらいにして、著者が主張する、『「日本の明るい未来」を明かす真実』を少しでも多く次項でご紹介します。残念ながらページ数の関係から、一部のご紹介しかできません。又その根拠についても十分なご紹介が出来ません。詳細は是非本書を手に取り、私達の常識が、如何に偏見に満ちたものであるかを、ご納得頂けたら幸いです。

■      隠されている真実の覆いを剝がしてみよう

【日本国の財政の嘘(真実は「実質的な借金は100兆円」)】

 著者は言います。『国の財政を貸借対照表(複式簿記)で見てみましょう。この貸借対照表は2年度遅れでこっそり公表されます。平成27年3月末現在で負債総額が1171兆円、資産総額は679兆円。すると、純粋な国の債務は492兆円です。次に重大なことが隠されています。それは日銀の同期末での純資産が290兆円です(計算方法は紹介本を見てください)。これを国の純債務492兆円から引くと残りは202兆円です(日銀は政府の子会社と言えるので連結決算的に処理)。金融緩和策の継続による名目成長率(実質成長率+物価上昇率)の増加によりプライマリーバランス達成で、債務が減少することを考慮すれば、「実質的な借金は100兆円」』と。

 日本人なら誰でも知っている「日本政府はGDPの二倍の借金を抱えており、その金額は約1000兆円、これを国民一人当たりにすると約830万円になる」と、敢えて実態より悪く見せるのは何故か。「その方が財務官僚は権限をひけらかせるし、将来の天下り先も確保できるからね」との匿名のキャリア財務官僚の発言を著者は引用しています。

【5年で100兆円も増加した対外純資産(「世界最強の金貸し」日本)】

 日本の対外純資産(総資産-総負債)は、世界No1です。残高の多い順にベスト・セブンを挙げますと、日本:366、中国:214、ドイツ:154、スイス:99、香港:99、ロシア:40、カナダ:15(2014年12月現在。単位:兆円。)となります。しかも日本は、2009年末には268兆円でしたから、5年で約100兆円増加しています。

 真実の財政状態と合わせ、日本が強固な財政基盤の上に立っている証左であると、著者は言います。

【中国GDPの嘘を示す五つの要因(「真実のGDP世界第二位」は日本)】

 著者は、高橋洋一氏の説を引用し、中国の統計が信用できない5つの理由をあげます。①経済の規模が大きいわりに変動が少ない。②国家統計局と各省・各市の経済統計データが一致していない。③経済成長率8%と発表された年に電力消費が10%落ち込んでいる。④リーマンショックが発生しても失業率はほぼ一定。⑤輸入が10%減っているのに経済成長率が7%近くもある。

 その他著者は、「数字の辻褄が合わない(何か一つの数字を粉飾したために起こる現象)。統計の確報値の出るのが締め日から3週間と異常な速さである(創られた数字を窺わせる)。中国の統計は旧ソ連時代の「技術」によって作られていることから旧ソ連が統計の粉飾によりGDPの規模を二倍に膨らませていた史実を連想させられる。中国歴史上での様々な捏造の事実がある。」などを挙げ、「GDPについても、いまだに日本が世界第二位である可能性が非常に高いのです」と言います。

【「少子高齢化が進む日本は成長できない」は噓】

 著者は、最新のデータを使ってOECD加盟国の出生率と名目成長率をグラフに落とし、相関関数を計算し、0.41と低い数字の結果を得て、出生率と名目成長率の相関は弱いとします。又、少子高齢化が進むOECD加盟国35か国中、約半数の16か国が平均4%の名目成長率を達成していることを挙げ、キャリア官僚たちが政策の失敗を「少子高齢化」にすることを戒めています。

【高齢者医療費を大きく削減した財政破綻の夕張市の奇跡】

 夕張市は2007年財政再建団体に指定されたことはご承知の通りです。同年、公営の総合病院は、17床の診療所になりました。止むを得ない選択として、病院医療から在宅医療へと変換していきます。その結果何が起きたかというと、高齢者の健康状態が改善され、病気が減り、寿命が延び、死因のトップが「老衰」となり、大幅な医療費の削減が実現したとのことです。

 『夕張市の事例などをしっかりと勉強して「まずは私たちの思い込みを無くす事から全てが始まると思います」「日本の未来は決して暗くありません」』と著者は述懐します。

【明るい未来を示すその他の真実】

 他にも色々と「私たちの思い込みを無くす真実」を著者が明かします。詳しくは紹介本をお読みください。

■      明るい未来に向けた企業経営(むすび)

 紹介本を読んで、久々に日本の将来に明るさを見出しました。紹介本のように正しい事実が、世の常識となって行き、日本の政治・経済の世界で改革が進み、日本の潜在能力が発揮され、それが名目・実質成長率の伸びにつながっていく事を期待します。

 明るい日本の未来を、企業経営において取り込むには何をしたらよいでしょう。

 著者が指摘するように「思い込みを無くし」「初心に立ち返り」見直しを行い、「経営再構築」をするいいチャンスかもしれません。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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■■ 経営コンサルタントの本棚 バックナンバー

  1. 2017/08/22(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】米国人の見る中・韓・日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】米国人の見る中・韓・日

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』

(ケント・ギルバード著 講談社α新書)

 

■      「日本人よ目を覚ませ」と著者は言う(はじめに)

 著者は紹介本を通して『物事に対する考え方や捉え方が、日本人と中国人、そして韓国人とでは、根本から、正反対と言っていいほど違う。その違いの根源は「儒教」にある。特に最近の外交問題を見ると、「特亜三国(中国、韓国に北朝鮮が入る)」の非常識ぶりは際立っている。その源泉は「儒教」に由来する』と主張します。

 私たち日本人は、この著者の主張を読んで“エッ、それって本当”と思われる人が多いのではないでしょうか。

 「儒教」という言葉に対して、多くの日本人が持つイメージは「論語」「仁・義・礼・智・信」に代表される道徳的思想です。著者は『日本人は、儒教の良いところを取り入れ、仏教、神道と融合させ、最後は武士道という倫理・道徳規範として確立した』と説明します。更に、『その根底にあるのは「和」と「思いやり(利他の精神)」である』と説明します。

 これに対し、『中国で生き残った「儒教」からは「仁・義・礼・智・信」が抜け落ちてしまった。これには、もはや偽善的な意味しか残っていない。中国では(歴史的に)、皇帝などを筆頭とする支配者層から見た場合、庶民は単に管理する対象でしかない。朝鮮(韓国・北朝鮮を指す)に至っては、「両班制度(“やんぱん”と訓む。14世紀の朝鮮王朝〈李朝〉時代に確立した[社会的支配階層制度]で現在も朝鮮〈韓国・北朝鮮〉の人々の意識に残っている)」から見てもわかるように、庶民とは搾取する対象でしかない。』と著者は、「特亜三国」の根底にある「儒教」文化を説明しています。

 『この「儒教」文化が「中華思想」となり、漢民族、朝鮮民族に受け入れられた』と著者は付け加えます。『「中華思想」を維持する漢民族は、自分たちを周辺国より絶対的上位にあると位置付ける、選民思想を患わっている民族である』とし、『朝鮮民族は、中国にすり寄ることで、他の周辺国に対し、ナンバー2の優位性を保ち、自らを「小中華」と称し、上位にある世界の中心に座す中国には媚び、距離的に下位にある日本などに対しては、一方的な優越感を持ち、高圧的な姿勢を取るようになっている』と著者は更に付け加えます。

 その上で、日本人に対し、『GHQによる日本人洗脳工作「WGIP(War Girt Information Program )」によって刷り込まれている「愛国心は悪」「平和ボケ」から目覚め、国際法などに照らし合せ、当然やるべきことを遂行・主張すべき』と著者は投げ掛けています。

 著者は紹介本の中で、「特亜三国」の非常識な政治・外交問題を指摘しています。その中から幾つかを次項で採り上げてみたいと思います。

■      多くの日本人が知らない中・韓・北朝鮮の事実

【人民解放軍とナチス】

 著者は言います。『「中華思想」をメンタリティの中心に据えている中国人は世界の常識とかけ離れた行動をとります。20世紀には民族主義の高まりから、多くの植民地が独立を果たしました。しかし中国は世界の潮流とは全く逆の動きをします。チベットは、もともと独立国でした。1949年に中華人民共和国が成立すると、1951年には中国共産党の軍隊である人民解放軍による軍事侵攻を受けて制圧されます。様々な人権侵害を経て、1959年には君主であるダライ・ラマ十四世はインドに亡命、チベットは完全に中国の支配下に置かれたのです。かつて東トルキスタンと呼ばれていたイスラム教徒の国も、人民解放軍の軍事侵攻を受けて、今では新疆ウィグル自治区と呼ばれるようになりました。内モンゴル自治区も同様に制圧されました。これらの地域で数多くのチベット人やウィグル人、モンゴル人が虐殺され、ナチスがユダヤ人に行ったような迫害を現在も受け続けているという事実は、中国国内の問題だとして、日本のメディアはほとんど伝えません。』

【GDPの30%に及ぶ賄賂の背景】

 著者は言います。『道徳心や高い倫理観を失った中国人は、自らの利益のためなら法を犯すことさえ厭いません。彼らは、息をするように嘘をつきますが、そこに罪悪感は微塵もありません。「騙す方より騙される方が悪い」と考えているからです。また、「公」よりも「私」を優先するので、国家への忠誠心もありません。その結果、中国の官僚の腐敗ぶりは、酷いものです。大和総研が発表したデータによると、2008年に中国全体で受け渡しされた賄賂の合計は116兆円近くに上ると。なんと中国のGDPの30%を占めたのです。』

【日本のODAに感謝しない理由】

 著者は言います。『「中華思想」は、対外的に強烈な優越意識を持つことで支えられていますが、数千年に及ぶ長い歴史で積み上げられたこの過剰な自意識は、一朝一夕には改まらないようです。例えば、中国には、日本からの多額の援助金が渡っています。政府開発援助(ODA)だけでも、1979年以降、3兆円以上に上っています。一般的に、海外からの援助によりインフラが完成すると、援助してくれた外国に対して感謝の意を示すものです。これは当然のことでしょう。インフラにその国への謝意を示したプレートが飾られたリ、インフラの完成式典には援助国の代表を招き、スピーチをしてもらうのが慣例です。しかし、儒教的な考えで厳しい序列を定め、中華思想、小中華思想に染まった国家には、そのような常識が欠如しているようです。それこそ、日本からの援助は、「朝貢」だとでも見ているのではないでしょうか。』

【その他の非常識な政治・外交問題】

 上述の他「オレ様主義と沖縄」「国境という意識のない中国人の愚」「(中国外交部)2050年マップ」「公害大国を生んだ中国人の発想」「キリストも孔子も韓国人」など、“エッと驚く”記事が掲載されています。詳しくは紹介本をお読みください。

■      彼を知り己を知れば、百戦して殆(あやう)からず(むすび)

 紹介本は「特亜三国」の非常識さ、日本の「対応の甘さ」を数多く指摘しています。この様な事は、政治の舞台だけではありません。企業経営、すなわち海外進出、海外契約、外国人雇用などの場面で、「特亜三国」に限らず、外国企業、外国人と関係を持つ機会が多くあります。そのような機会に直面した時、著者のような指摘を明確にする日本人は少ないでしょうから、紹介本の指摘から多くの「メタ(meta=一般的情報の背後にある、決断の根拠にできる事実情報)」を把握すると同時に、自身(自社)の強み・弱みも的確にとらえ、対応していくことが大切と思います。「彼を知り己を知れば、百戦殆からず(孫子 謀攻篇)」です。

 同時に、『小異を残して大同につく(一般的には「小異を捨てて大同につく」)』の格言ではありませんが、お互いが「共通のアイデンティティー(ビジョン)」を共有し、それに向かって進んでいく前向きの姿勢も大切にしたいものです。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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  1. 2017/06/27(火) 12:05:00|
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