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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】改正民法3年内施行 準備は

■■経営コンサルタントのお勧め図書】改正民法3年内施行 準備は

 「経営コンサルタントがどのようなを、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めのは?」という声をしばしばお聞きします。

 日経営士協会の経営士コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『3時間でわかる!「民法改正」』(熊谷則一著 日経済新聞出版社)

■      民法債権法分野の改正は明治29年制定以来120年ぶり。準備は(はじめに)

 民法の債権法(契約法)分野は、いずれの企業にとっても、関係の深い分野です。2017年5月に国会で成立し、6月2日に交付されました。施行は2020年の1月~4月が有力視されています。

 施行までには2年6か月位有りますが、とにかく広範囲の改正ですので、企業法務で使用する契約書式一覧を見直す必要があるでしょう。政令により、施行令と共に「経過措置」が規定され、「新法施行前に発生した債権に関する規定は、旧法による」とされますので、施行後暫くは、新旧双方に目配りをする必要があります。

 改正はどの位広範囲か、改正領域項目(有斐閣方式による)を羅列してみましょう。【(民法)総則】については、①心理留保②錯誤③代理権の濫用④消滅時効、【債権総則】については、①法定利率②履行の強制③債務不履行による損害賠償④債権者代位⑤詐害行為取消し請求⑥多数当事者⑦債権の譲渡⑧債務引受⑨相殺、【債権各論】については、①危険負担②契約の解除③売買④消費貸借⑤賃貸借⑥請負です。如何に広範囲に亘って改正がなされるかお分り頂けると思います。

 これらの改正は、次の三つの観点から改正されました。一つは「考え方の一化」(消滅時効の改正など)。二つ目は「原則や通説の明文化」(「瑕疵担保責任」が、法定責任説ではなく契約責任説が採用され「契約不適合責任」に変わる等)。三つめは「ルール(規律)の現代化」(法定利率の決め方など)です。

 それでは重要な、あるいは企業業務に関係の深い改正項目を、次項でご紹介します。

■      押さえておきたい「民法改正」のポイント

【債権の消滅時効における原則】

 現民法は、消滅時効は「権利を行使することが出来る時」という客観的な算定点から「10年」という時効期間を定めています。しかし、債権者の現実的権利行使の機会を確保するという観点からは、「債権者が権利を行使することができることを知った時」という主観的な起算点から消滅時効が進行すべきと考えられ、主観的起算点から「5年」という消滅時効が加えられました。加えて、職業別の短期消滅時効に合理性はないとして、工事代金・医師の債権(3年)、商品の売掛金・弁護士の債権(2年)の規定は削除されました(商事消滅時効〈5年〉も削除されました)。生命身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効は10年⇒20年に、不法行為による主観的起算点からの消滅時効は3年⇒5年に変更されました。

【法定利率の引き下げ】

 法定利率は、契約で利率が定められていない場合や損害遅延金などに適用される利率ですが、これまでは年5%と定められていましたが、3%に引き下げられることに加え、ここをスタートにし3年毎に、政令による「基準割合(直前基準割合と当期基準割合の差額(1%未満切り捨て)」で計算された変動幅で変動することになりました。(なお商事法定利率〈商法〉6%の規定は削除されました。)

【事業資金の個人保証における保証意思の確認―公正証書の作成が原則―】

 改正法では、事業資金の個人保証に関し、取締役等の役員・大株主などを除く個人の保証人を保護する規定を創設しました。事業資金の借り入れの保証人となるためには事前に公正証書が作成されていなければ、保証契約の効力が生じないとしています。  また、主債務者に対し、保証人に対する財産及び収支の状況などの情報提供義務を課しています。

【定型約款(インターネット取引など)に関する規定の創設】

 企業が多数の消費者と取引を行う場合、定型約款が使用されることが多いですが、今までは、定型約款に関する規定が有りませんでした。そこで「定型約款に合意した者、定型約款が表示されている場合は合意があったとみなされるが、定款約款の条項の中に、相手の権利を制限し、又は義務を加重する条項で、信義則に反し相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、合意しなかったものとみなされる」との原則規定が創設されました。この他「定型約款の開示義務」「定型約款の変更」などについても新たな規定が設けられました。

【「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に変わる】

 『売買の目的物に「隠れた瑕疵(契約の時には見えなかった期待された品質の欠如)」があれば買主は売主に瑕疵担保責任を追及できる』というのが現行法です。現行法に基づき、買主は売主に損害賠償請求、契約解除(代金返還)の二つの方法が認められていました。

 改正法では、「瑕疵担保責任(期待された品質の欠如の責任)」を「契約不適合責任(種類、品質、数量に関して契約の内容に適合しないものに対する責任)」と定義を変えました。これは契約の対象範囲を、現行法の「特定物」という硬直的な考えから、「幅の広い、多様性のある契約対象物」という考え方に変えたのです。

 この結果、改正法では、買主の売主に対する責任補完請求を、上記二つの方法に加え、履行追完請求、代金減額請求という二つの方法を新たに加えたのです。

【寄託契約は、「要物契約」から「諾成契約」に変わる】

 寄託契約の典型例は倉庫業です。倉庫業では、倉庫に預ける品物の保管を倉庫業者が行うケースと、倉庫業者は場所を貸して、保管物は所有者自身が行うケースが有ります。寄託契約が該当するのは前者のケースです。

 寄託契約は現行法では「要物契約」、すなわち、受寄者(倉庫業者など)が寄託物(保管物)を受け取ることによって契約が成立するという考えに立っていました。改正法では、寄託契約を「要物契約」ではなく「諾成契約(契約が、モノの移動が無くても契約した時点で成立する)」としたのです。この結果、改正法では、モノの移動がない間の、寄託者及び受寄者双方に、正当な権利の主張・請求を認めたのです(詳細は紹介をお読みください)。つまり、経済活動の多様化に応じ、法律面での対応をしたのです。

【その他の改正】

 その他多くの改正が有ります。最終的には、法務省のH・Pの新旧対照条文で確認するのが良いでしょう(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00175.html)。「敷金」の明文化や「敷金返還義務の原則化」、「賃貸借関係」についての変更など「エッ」と思うような変更があります。

■      民法改正」を機に自社の法務体制を検証しよう(むすび)

 「企業法務」は、どうでしょう、貴社での注力度は上から何番目ですか。本業に対する注力度と大きく離れておられたら、これを機に、本業の注力度と同レベルまで高めてはいかがでしょうか。

 何故なら、本業は「業法(事業に関連する法規)」に基づいている場合が殆どです。先ずは、そこから始めませんと、本業に大きな痛手を受けるケースが出てきます。

 繰り返しになりますが、改正民法への対応準備を機に、貴社の「企業法務体制」を検証し、必要ならば見直しをしてみてはいかがでしょうか。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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  1. 2017/09/26(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本の未来を明るく出来る

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本の未来を明るく出来る

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■      今日のおすすめ

 『財務省と大新聞が隠す「本当は世界一の日本経済」』

(上念 司著 講談社α新書)

■      悲観論で覆われた彼方には「明るい未来を示す真実」が存在する(はじめに)

 最初に著者は、読者に投げ掛けます。『省益に反するという理由で真実を隠す「財務省」、専門的分析力のある人材に欠け、「記者クラブ」で配布される紙を適当に編集し記事にする「大新聞」を信用せずに、改めて日本の問題点の「メタ(meta=一般的情報の背後にある、決断の根拠にできる事実情報)」を探求し、そこにある真実は何かを判断し、日本の将来を見通してみよう』と。

 そこに、「一般的に報道されている問題だらけの日本ではなく、引き続きGDP世界第二位を堅持する明るい日本に出来る真実を見出せる」と著者は言います。

 そのように主張する著者の論拠は、統計的分析、グローバルな経済学説に基づく分析にあり、信頼性の高い指摘と、私は思料し、皆様にご紹介する次第です。

 前置きはこのぐらいにして、著者が主張する、『「日本の明るい未来」を明かす真実』を少しでも多く次項でご紹介します。残念ながらページ数の関係から、一部のご紹介しかできません。又その根拠についても十分なご紹介が出来ません。詳細は是非本書を手に取り、私達の常識が、如何に偏見に満ちたものであるかを、ご納得頂けたら幸いです。

■      隠されている真実の覆いを剝がしてみよう

【日本国の財政の嘘(真実は「実質的な借金は100兆円」)】

 著者は言います。『国の財政を貸借対照表(複式簿記)で見てみましょう。この貸借対照表は2年度遅れでこっそり公表されます。平成27年3月末現在で負債総額が1171兆円、資産総額は679兆円。すると、純粋な国の債務は492兆円です。次に重大なことが隠されています。それは日銀の同期末での純資産が290兆円です(計算方法は紹介本を見てください)。これを国の純債務492兆円から引くと残りは202兆円です(日銀は政府の子会社と言えるので連結決算的に処理)。金融緩和策の継続による名目成長率(実質成長率+物価上昇率)の増加によりプライマリーバランス達成で、債務が減少することを考慮すれば、「実質的な借金は100兆円」』と。

 日本人なら誰でも知っている「日本政府はGDPの二倍の借金を抱えており、その金額は約1000兆円、これを国民一人当たりにすると約830万円になる」と、敢えて実態より悪く見せるのは何故か。「その方が財務官僚は権限をひけらかせるし、将来の天下り先も確保できるからね」との匿名のキャリア財務官僚の発言を著者は引用しています。

【5年で100兆円も増加した対外純資産(「世界最強の金貸し」日本)】

 日本の対外純資産(総資産-総負債)は、世界No1です。残高の多い順にベスト・セブンを挙げますと、日本:366、中国:214、ドイツ:154、スイス:99、香港:99、ロシア:40、カナダ:15(2014年12月現在。単位:兆円。)となります。しかも日本は、2009年末には268兆円でしたから、5年で約100兆円増加しています。

 真実の財政状態と合わせ、日本が強固な財政基盤の上に立っている証左であると、著者は言います。

【中国GDPの嘘を示す五つの要因(「真実のGDP世界第二位」は日本)】

 著者は、高橋洋一氏の説を引用し、中国の統計が信用できない5つの理由をあげます。①経済の規模が大きいわりに変動が少ない。②国家統計局と各省・各市の経済統計データが一致していない。③経済成長率8%と発表された年に電力消費が10%落ち込んでいる。④リーマンショックが発生しても失業率はほぼ一定。⑤輸入が10%減っているのに経済成長率が7%近くもある。

 その他著者は、「数字の辻褄が合わない(何か一つの数字を粉飾したために起こる現象)。統計の確報値の出るのが締め日から3週間と異常な速さである(創られた数字を窺わせる)。中国の統計は旧ソ連時代の「技術」によって作られていることから旧ソ連が統計の粉飾によりGDPの規模を二倍に膨らませていた史実を連想させられる。中国歴史上での様々な捏造の事実がある。」などを挙げ、「GDPについても、いまだに日本が世界第二位である可能性が非常に高いのです」と言います。

【「少子高齢化が進む日本は成長できない」は噓】

 著者は、最新のデータを使ってOECD加盟国の出生率と名目成長率をグラフに落とし、相関関数を計算し、0.41と低い数字の結果を得て、出生率と名目成長率の相関は弱いとします。又、少子高齢化が進むOECD加盟国35か国中、約半数の16か国が平均4%の名目成長率を達成していることを挙げ、キャリア官僚たちが政策の失敗を「少子高齢化」にすることを戒めています。

【高齢者医療費を大きく削減した財政破綻の夕張市の奇跡】

 夕張市は2007年財政再建団体に指定されたことはご承知の通りです。同年、公営の総合病院は、17床の診療所になりました。止むを得ない選択として、病院医療から在宅医療へと変換していきます。その結果何が起きたかというと、高齢者の健康状態が改善され、病気が減り、寿命が延び、死因のトップが「老衰」となり、大幅な医療費の削減が実現したとのことです。

 『夕張市の事例などをしっかりと勉強して「まずは私たちの思い込みを無くす事から全てが始まると思います」「日本の未来は決して暗くありません」』と著者は述懐します。

【明るい未来を示すその他の真実】

 他にも色々と「私たちの思い込みを無くす真実」を著者が明かします。詳しくは紹介本をお読みください。

■      明るい未来に向けた企業経営(むすび)

 紹介本を読んで、久々に日本の将来に明るさを見出しました。紹介本のように正しい事実が、世の常識となって行き、日本の政治・経済の世界で改革が進み、日本の潜在能力が発揮され、それが名目・実質成長率の伸びにつながっていく事を期待します。

 明るい日本の未来を、企業経営において取り込むには何をしたらよいでしょう。

 著者が指摘するように「思い込みを無くし」「初心に立ち返り」見直しを行い、「経営再構築」をするいいチャンスかもしれません。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

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■■ 経営コンサルタントの本棚 バックナンバー

  1. 2017/08/22(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】米国人の見る中・韓・日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】米国人の見る中・韓・日

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

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■      今日のおすすめ

 『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』

(ケント・ギルバード著 講談社α新書)

 

■      「日本人よ目を覚ませ」と著者は言う(はじめに)

 著者は紹介本を通して『物事に対する考え方や捉え方が、日本人と中国人、そして韓国人とでは、根本から、正反対と言っていいほど違う。その違いの根源は「儒教」にある。特に最近の外交問題を見ると、「特亜三国(中国、韓国に北朝鮮が入る)」の非常識ぶりは際立っている。その源泉は「儒教」に由来する』と主張します。

 私たち日本人は、この著者の主張を読んで“エッ、それって本当”と思われる人が多いのではないでしょうか。

 「儒教」という言葉に対して、多くの日本人が持つイメージは「論語」「仁・義・礼・智・信」に代表される道徳的思想です。著者は『日本人は、儒教の良いところを取り入れ、仏教、神道と融合させ、最後は武士道という倫理・道徳規範として確立した』と説明します。更に、『その根底にあるのは「和」と「思いやり(利他の精神)」である』と説明します。

 これに対し、『中国で生き残った「儒教」からは「仁・義・礼・智・信」が抜け落ちてしまった。これには、もはや偽善的な意味しか残っていない。中国では(歴史的に)、皇帝などを筆頭とする支配者層から見た場合、庶民は単に管理する対象でしかない。朝鮮(韓国・北朝鮮を指す)に至っては、「両班制度(“やんぱん”と訓む。14世紀の朝鮮王朝〈李朝〉時代に確立した[社会的支配階層制度]で現在も朝鮮〈韓国・北朝鮮〉の人々の意識に残っている)」から見てもわかるように、庶民とは搾取する対象でしかない。』と著者は、「特亜三国」の根底にある「儒教」文化を説明しています。

 『この「儒教」文化が「中華思想」となり、漢民族、朝鮮民族に受け入れられた』と著者は付け加えます。『「中華思想」を維持する漢民族は、自分たちを周辺国より絶対的上位にあると位置付ける、選民思想を患わっている民族である』とし、『朝鮮民族は、中国にすり寄ることで、他の周辺国に対し、ナンバー2の優位性を保ち、自らを「小中華」と称し、上位にある世界の中心に座す中国には媚び、距離的に下位にある日本などに対しては、一方的な優越感を持ち、高圧的な姿勢を取るようになっている』と著者は更に付け加えます。

 その上で、日本人に対し、『GHQによる日本人洗脳工作「WGIP(War Girt Information Program )」によって刷り込まれている「愛国心は悪」「平和ボケ」から目覚め、国際法などに照らし合せ、当然やるべきことを遂行・主張すべき』と著者は投げ掛けています。

 著者は紹介本の中で、「特亜三国」の非常識な政治・外交問題を指摘しています。その中から幾つかを次項で採り上げてみたいと思います。

■      多くの日本人が知らない中・韓・北朝鮮の事実

【人民解放軍とナチス】

 著者は言います。『「中華思想」をメンタリティの中心に据えている中国人は世界の常識とかけ離れた行動をとります。20世紀には民族主義の高まりから、多くの植民地が独立を果たしました。しかし中国は世界の潮流とは全く逆の動きをします。チベットは、もともと独立国でした。1949年に中華人民共和国が成立すると、1951年には中国共産党の軍隊である人民解放軍による軍事侵攻を受けて制圧されます。様々な人権侵害を経て、1959年には君主であるダライ・ラマ十四世はインドに亡命、チベットは完全に中国の支配下に置かれたのです。かつて東トルキスタンと呼ばれていたイスラム教徒の国も、人民解放軍の軍事侵攻を受けて、今では新疆ウィグル自治区と呼ばれるようになりました。内モンゴル自治区も同様に制圧されました。これらの地域で数多くのチベット人やウィグル人、モンゴル人が虐殺され、ナチスがユダヤ人に行ったような迫害を現在も受け続けているという事実は、中国国内の問題だとして、日本のメディアはほとんど伝えません。』

【GDPの30%に及ぶ賄賂の背景】

 著者は言います。『道徳心や高い倫理観を失った中国人は、自らの利益のためなら法を犯すことさえ厭いません。彼らは、息をするように嘘をつきますが、そこに罪悪感は微塵もありません。「騙す方より騙される方が悪い」と考えているからです。また、「公」よりも「私」を優先するので、国家への忠誠心もありません。その結果、中国の官僚の腐敗ぶりは、酷いものです。大和総研が発表したデータによると、2008年に中国全体で受け渡しされた賄賂の合計は116兆円近くに上ると。なんと中国のGDPの30%を占めたのです。』

【日本のODAに感謝しない理由】

 著者は言います。『「中華思想」は、対外的に強烈な優越意識を持つことで支えられていますが、数千年に及ぶ長い歴史で積み上げられたこの過剰な自意識は、一朝一夕には改まらないようです。例えば、中国には、日本からの多額の援助金が渡っています。政府開発援助(ODA)だけでも、1979年以降、3兆円以上に上っています。一般的に、海外からの援助によりインフラが完成すると、援助してくれた外国に対して感謝の意を示すものです。これは当然のことでしょう。インフラにその国への謝意を示したプレートが飾られたリ、インフラの完成式典には援助国の代表を招き、スピーチをしてもらうのが慣例です。しかし、儒教的な考えで厳しい序列を定め、中華思想、小中華思想に染まった国家には、そのような常識が欠如しているようです。それこそ、日本からの援助は、「朝貢」だとでも見ているのではないでしょうか。』

【その他の非常識な政治・外交問題】

 上述の他「オレ様主義と沖縄」「国境という意識のない中国人の愚」「(中国外交部)2050年マップ」「公害大国を生んだ中国人の発想」「キリストも孔子も韓国人」など、“エッと驚く”記事が掲載されています。詳しくは紹介本をお読みください。

■      彼を知り己を知れば、百戦して殆(あやう)からず(むすび)

 紹介本は「特亜三国」の非常識さ、日本の「対応の甘さ」を数多く指摘しています。この様な事は、政治の舞台だけではありません。企業経営、すなわち海外進出、海外契約、外国人雇用などの場面で、「特亜三国」に限らず、外国企業、外国人と関係を持つ機会が多くあります。そのような機会に直面した時、著者のような指摘を明確にする日本人は少ないでしょうから、紹介本の指摘から多くの「メタ(meta=一般的情報の背後にある、決断の根拠にできる事実情報)」を把握すると同時に、自身(自社)の強み・弱みも的確にとらえ、対応していくことが大切と思います。「彼を知り己を知れば、百戦殆からず(孫子 謀攻篇)」です。

 同時に、『小異を残して大同につく(一般的には「小異を捨てて大同につく」)』の格言ではありませんが、お互いが「共通のアイデンティティー(ビジョン)」を共有し、それに向かって進んでいく前向きの姿勢も大切にしたいものです。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

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  1. 2017/06/27(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】「木を見て森も」見る 企業の成長戦略が10時間でわかる本

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】「木を見て森も」見る 企業の成長戦略が10時間でわかる本

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『企業の成長戦略が10時間でわかる本』(木嶋 豊著 あさ出版)

■      知識は知っているだけではなく、実戦で使える知見まで高めよう。(はじめに)

 紹介本は、経営書には珍しく「企業の誕生(起業)から成人(IPO)まで」の各ステップに於ける経営戦略を、知名度の高い「フレームワーク」を用いながら、知識に偏ることなく、図表を用いながら実戦的且つポイントをついて簡潔に説明しています。

 経営者やコンサルタントを目指す人にとっては、自身の実戦力を高める材料を提供してくれるでしょう。また、ベテラン経営者やベテランコンサルタントにとっては、自身のマネジメントを振り返る材料を提供してくれるでしょう。

 各々の皆さんが、「さらに詳しく」と考えられる部分は、さらに深く探求できるよう、各時間(「1時間が一章」で「10時間立て」となっている)の終わりのページに参考となる専門書が紹介されています。

 さらにこの紹介本の優れている点は、知名度の高い「フレームワーク」を実戦的に焼き直し、例示している点で、マネジメントに応用する時に参考にできる点です。それは、著者の豊富・多様な経験と実戦力によると思います。それでは、紹介本の中から、これは注目に値すると思われるいくつかを次項でご紹介します。

 

■      経営戦略の知見を活かせる領域を広めよう

【「バランス・スコア・カード」に拘らない、CSF、KGI、KPIの使い方】

 最近「KPIマネジメント」を使っている企業が多く見られます。本紹介本でも、KPI(Key Performance Indicator:業績指標)を使った部門オペレーション管理を行う例が紹介されています。そこでは、KPIを束ねる指標としてKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を、KGIを束ねる指標としてCSF(Critical Success Factor:重要成功要因)を使っています。「バランス・スコア・カード」で一般的に使われる、KGI(戦略目標)⇒CSF(重要成功要因)⇒KPI(業績評価指標)とは一致していません。この様に既存のフレームワークを、実戦に合せ、応用的に使うやり方は、もちろん著者の経験に基づくものと思いますが、「目から鱗」のような新鮮さを感じました。

【資金調達を可能にする事業計画】

 事業計画の作成については多くの著書がありますが、本紹介本の説明は7ページにわたる図表で説明されており(「収支計画」「売上原価・経費計画」も含む)、目的はベンチャーキャピタル等からの資金調達のためのものですが、一冊の専門書以上に、実戦的に書かれています。

 特に、表題(参考になる表題名の例)、内容(どのような分析手法を使って作成するかも書かれている)、注意点(痒いところに届くような適切・簡明な要点が書かれている)、更にはページ数の目途まで書かれており、事業計画作成については極めて実戦的で、実務でも応用・活用できるものです。毎年の経営計画(予算管理)策定にも、応用したいですね。最初の年度は少し労力を要しますが、次年度からは軌道に乗り、経営改善の効果が明確になってくるでしょう。

【その他の「注目点」】

 上記以外にも、IPOについては、事前準備の段階から、費用も含め、体制作りなど、簡明に書かれており、一読に値します。IPOをしなくても、成人(IPO)企業と同等の信用を得るために、IPOの事前準備項目の何を取り入れたらよいか(コーポレートガバナンス、CSRなど)も理解できます。

 その他、「5S」、「ファイブフォース・分析」、「ブルーオーシャン戦略」、「キャズムとイノベーション理論」等についての実戦的図解や動態的図解は参考になります。詳しくは紹介本をお読みください。

 

■      経営については何時も「木と共に森」を見よう(むすび)

 紹介本は、経営戦略全般について、簡明且つ網羅的に書かれた著書と思います。経営者の皆さんにとって、コンサルタントにとって、自らの強みの分野についての、新たな視点を得るとともに、経営全般についても、「ここは注力しなければ」と視野を広げて見直す機会を与えてくれるのではないでしょうか。

 著書の表題は「・・・が10時間でわかる本」とありますが、このブログ・メルマガの読者の皆様の力をもってすれば、3~5時間で読了できます。楽しく読めて、実戦で使える本です。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

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  1. 2017/05/23(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】わかる「21世紀の資本」

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】わかる「21世紀の資本」

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 「図解『ピケティ入門』」(高橋 洋一著 あさ出版)

■      世界的名著『21世紀の資本』の核心が簡単に掴める解説書(はじめに)

 トマ・ピケティの『21世紀の資本』(邦訳=みすず書房)は、現在の世界経済の状況を“20か国、300年分ものデータ”によって科学的に分析した名著です。本国のフランスは勿論アメリカ、日本でもベストセラーになった名著です。『21世紀の資本』は、私達経営に係る者にとっては必読の書と言えます。

 必読と言われても、700ページを超える大著を読む余裕は無いし、でも「何とかして、名著『21世紀の資本』の核心は頭に入れておきたい」と思う人にピッタリの本が今日の紹介本です。

 紹介本のオリジナル本である『21世紀の資本』(邦訳=みすず書房)には、97枚の図と18枚の表が掲載されていますが、紹介本は、その20%弱の21枚の図で、核心に導く解説本です。数学的分析に強く、大蔵省理財局で活躍した著者ならではの解説本と思います。

 

■      結局のところピケティは何を言いたいのか

【ピケティの第一法則】

 第一の法則は、資本所得シェア(α)=資本収益率(r)×資本所得比率(β)です。資本所得シェア(α)から行きましょう。資本所得と労働所得の合計が国民総所得ですから、「資本所得+労働所得=国民総所得」です。資本所得シェア(α)は、国民総所得に占める資本所得の占有率です。国民所得の何%を資本所得が占めているかを示す指標です。資本収益率(r)は、資本所得/資本で表されます。解りやすく言うと利回りですね。資本所得比率(β)は、長期に亘る資本のストックが1年の国民総所得(資本所得+労働所得)の何倍かを比率で表します。ピケティは「国民資本=公的資本+民間資本」とし乍ら、公的資本は横這いであるとのデータを得て、民間資本に的を絞り理論展開をします。

 例えば、資本収益率が年5%で、資本所得比率が600%だとしたら、資本所得シェアαは30%になります。つまり国民所得の30%が労働による所得ではなく、所有する資本から得た所得ということになります。

 ピケティは、この第一法則は、『資本主義システムを分析するための三つの最重要概念の間にある、単純で明快な関係を表現したものだ』としています。

【ピケティの第二法則】

 第二の法則は、資本所得比率(β)=国民所得に占める貯蓄率(s)/GDP成長率(g)です。例えば年率12%の貯蓄率に対し、年率2%成長している国の資本所得率は長期的には600%(長期に亘りストックされた資本が、1年の国民総所得の6倍ということを示す)になるということです。つまり、より多く蓄え、よりゆっくり成長する国ほど、長期的には資本所得率は高くなるということです。この法則は、過去の長期間のデータから導かれた法則で、一定の状態(s/g)が長期間続くと(β)になるというものです。

【二つの法則の結果からピケティが言いたいこと】

 ピケティは、膨大なデータにより『r>g(資本収益率>GDP成長率)』(rが税前だと完全に成立。rが税引きだと一時的に成立しない時期がある。)という不等式を導き出し、それを歴史的事実としています。rは資本所得の伸び率、gを労働所得の伸び率を示す指標として使っています。つまり、世界的に、格差拡大は縮小することがないとの結論に至るのです。

 加えて、二つの法則から、成長率(g)が長期的に低下(現在の3.5%⇒21世紀末1.5%)し、貯蓄率(s)がほとんど変化しないことが統計的に算出される結果、資本所得比率(β)が大きくなり(21世紀末700%)、世界全体での資本所得と労働所得の格差拡大に拍車がかかるとしています。

 ピケティは、格差拡大を是正のため税制の活用を言いますが、これには様々な意見があることでしょう。

 

■      21世紀に生き残るには(むすび)

 ピケティが指摘した重要な点は、社会的格差が今のままでは、さらに大きく広がって行くことを、膨大なデータで示したことに有ります。

 このような現象に対し、世界は、政治においても、個々の企業においても適切な手を打っていくことを要求されます。事実パナマ文書で明らかになった、企業や個人の税逃れの動きを、世界レベルで防止しようといった動きも出ています。

 この様な21世紀に、企業が生き残っていくための経営はどうあるべきなのでしょう。一言でいうと「インテグリティ・マネジメント(Integrity Management)」つまり字の通り「誠実性・倫理性の高い経営」をすることに尽きると思います。

 つまり、個々の企業経営において、格差を無くそうとする新たな社会ルールには、高潔な姿勢でサポートする。また、個々の企業のステーク・ホルダーから『一番大切にしたい会社』と思われる倫理性の高い企業価値を創り出していく事ではないでしょうか。

 その様な経営をすることによって、個々の企業の持続的成長が維持されるのではないでしょうか。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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  1. 2017/04/25(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本人として知っておきたい『崩れる世界秩序』

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本人として知っておきたい『崩れる世界秩序』

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『日本人として知っておきたい「世界激変」の行方』

(中西 輝政著 PHP新書)

■      湾岸戦争に始まった『アメリカ「一極体制」』崩壊の行き先(はじめに)

 2016年6月のイギリスのEU離脱、ロシアのクリミア併合に続くシリアにおける代理戦争、2010年のアラブの春以降の中東の混乱、世界各地で起こるイスラーム原理主義者のテロ事件、中国の南シナ海の領有権に対する強権的主張など、「世界の平和と安定」「自由」「人権」「法の支配」と言った普遍的理念に逆行する事件が多発し、将来への不安と不透明感が高まる中、普遍的理念を代表するアメリカの大統領に「アメリカ ファースト オンリー」を主張するトランプ氏が1月20日大統領に就任しました。

 アメリカ「一極体制」が崩壊する行先には、どのような世界があるのだろうと多くの人は将来の不確実性に頭を悩ませているのではないでしょうか。

 ところが、紹介本の著者中西輝政氏は、25年前からこの時代を予想し主張していたというのです。25年前の著者の主張は次の5つのトレンドでした。①中東情勢の不安定化によるテロの多発、②ロシアの民主化の失敗と強硬な反西側的存在になる、③中国経済が豊かになるほど軍事大国化し日本にとっての安全保障上の脅威となる、④アメリカの衰退と覇権国から徐々に遠ざかる、⑤ヨーロッパ統合の失敗、の5つでした。

 25年前から2015年位まで、大学でこの話を学生にすると、賢い学生程立ち上がって、教室から出ていったそうです。著者の主張が注目されるようになったのは、トランプ氏がアメリカの大統領選挙に勝利してからです。

 著者は主張します。『25年前の予想が全て当たったと、少しも自慢したくない。予想のような世界になってほしくないと、心底思っていた。しかし予想のようになることは「見えすぎるほど見えていた」』と言います。

 著者にとって「見えすぎるほど見えていた」のは、紹介本に書かれているように、第一次世界大戦後今日に至るまでの世界の歴史的事実を冷静に分析し、その先にあることを予測すれば、自ずと結論が出てきたことを指しているのだと思います。

 「見えすぎるほど見えていた」詳細は紹介本を読んでください。「目から鱗」のようにアメリカの一極体制崩壊後の世界が見えてきます。

 何か暗い気分になりがちな私たちに、著者は次のような希望を与えてくれます。 『今は、「安定した持続的世界秩序の定着」に向けたスタートだ』と。

■      「日本人として知っておきたい」こと

【「中露同盟」的接近を知らない日本人が多い】

 2016年6月ウズベキスタンの首都タシケントで開かれた、上海協力機構(SCO。中国、ロシア、ウズベキスタン、タジキスタン、カザフスタン、キルギスなどが加盟)の会議後、北京に場を移し、習・プーチン会談で「お互いの核心的利益を支持」を表明する「中露同盟」と評してよいほどの接近を見せ、「対米対抗関係」を強めた。この「同盟」ともいえる接近は、これからの世界秩序を大きく変える兆しと著者は見ています。

【トランプ大統領就任後イギリスのメイ首相と最初の首脳会談は当然】

 イギリスとアメリカの関係は従来から「血の同盟」と言われるほど緊密であり、第二次世界大戦にアメリカを引き入れたのもイギリスであり、種々の思惑の中で、アメリカ中心で運営するNATOもイギリス・アメリカが中心となって運営してきました。これからの世界秩序を考えた時、米・英の関係は世界秩序を作るうえで、大きな存在感を持つと著者は主張します。

【ドイツがロシアに接近する悪夢と中国と手を組む恐怖】

 ドイツとロシアは経済的関係で共通の利害を持ち、メルケルとプーチンは通訳なしで会話できる中であり、歴史的にも両国の関係は深い。今後のドイツとロシアの接近は、世界秩序の観点から注視する必要があると、著者は指摘します。ドイツと中国の関係も注視する必要があると著者は指摘します。「AIIB」「一帯一路」などで世界進出を狙う中国とドイツが手を組むことで、中国の思惑が現実味を帯びてくると著者は指摘します。 

■      「日本人よ目覚めよ」と著者は言う(むすび)

 「安定した世界秩序の定着」に向けてスタートした混迷の時期に、著者は日本人に向かって次の五つの点を主張します。

 『「一極として立つ」「大きな底流を早く見つける」「しっかり準備して、できるだけゆっくり行動する」「交渉事は常に粘り強く主張する」「大きなものが動くところでは、あるところで潮目を見て潔く譲歩する」』

 これは、日本の企業経営者と日本の政府に向かって言っていることです。私のブログを読んだだけでは、5つの主張の必要性が、分かりにくいと思います。紹介本を是非読み、理解してください。これからの世界と日本の先行きを読むうえで大いに参考になると思います。

 ところで、この3月1日、ユンケル欧州委員長が「EU再建に向けた白書」を公表しました。この白書には5項目のシナリオが示されていますが、その中の一つに紹介本が指摘していると同じことが示されています。それは、「EUは単一市場の完成だけを目指す」「その他はEU加盟各国の主権に任せる」というものです。これなら英国も飲めそうですね。

 いずれにしても大きな転換点に来ていることは間違いありません。

 

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  1. 2017/03/28(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本の論点2017~18

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本の論点2017~18

本

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■   今日のおすすめ

 『日本の論点2017~18』(大前研一著 プレジデント社)

■     年初に当たりこれからの日本の論点を整理してみよう(はじめに)

 新しい年のスタートの時期に当たり、PESTに係る本をご紹介します。

 英国エコノミスト誌から、「現代世界の思想的リーダー」として、ドラッカー(故人)やトム・ピータースと共に名前が挙げられている大前研一が、プレジデント誌に連載している「日本のからくり」の過去1年分のストック及び特集記事から読者の反響の大きかった記事に、加筆修正して出版したのがこの紹介本です。


 トランプが大統領選を制した直前に出稿された本ではありますが、トランプが共和党候補として、民主党候補のクリントンと互角の選挙戦を戦っていたことから、そこにアメリカの右傾化、ポピュリストの台頭を見出し、併せて世界の右傾化を指摘している点は、先を読める大前研一ならではと思わせます。


 いずれにしても、2017年がどのような年になるのかを一言で表現するならば、「不確実性の年」と言えるのではないでしょうか。不確実性の時代を出来る限り正確に見通そうとするならば、いま世界で起こっていることの「メタ(一般的情報の背後にある、決断の根拠にできる事実情報)」を認識することです。

 その点で、本紹介本はピッタリと言えるでしょう。それは著者の豊富な経験と分析力によると思います。それでは、「日本の論点」の中から、これは注目に値すると思われるいくつかを次項でご紹介します。

■ 注目したい日本の論点

【巨大ビジネス創出!「アイドルエコノミー」】 

「アイドルエコノミー」のアイドルは「Idol」ではなく「Idle」即ち「働いていない」「使われていない」「空いている」を意味します。以下略。

【財政赤字の問題】
 著者は、アベノミクスの景気浮揚効果を阻んでいる一つの要因として、1300兆円の国家債務が国民の将来不安を生み、消費より貯蓄という行動を生んでいると指摘します。以下略。

【その他の「論点」】
 上記以外にも「イタリアの地方創生法」「蔡英文台湾と中台関係」「世界を席巻するポピュリスト旋風」等、大前研一流の知見と深い洞察力で書かれている「日本の論点」が多く掲載されています。詳しくは紹介本をお読みください。

■ 2017年は世界に向けて感性の高い情報アンテナを張ろう(むすび)

 著者は、読者に向けて、『ビジネスパーソンとして、「世界経済を自分の肌感覚でつかめる」ようになるには、NHKBS1の朝4時から7時までの「ワールドニュース」を見るだけで、1年後には相当力が付く』と勧めています。朝の苦手な人は録画しておけば時間の空いた時に見ることが出来ます。確かに海外放送局の放映をダイレクトに見ることは、国内ニュースでは得られない新たな情報が入ってきます。

 不確実性の時代に「メタ」を得ていく具体例として、「ワールドニュース」のお話を紹介しましたが、感性の高いアンテナを張りめぐらし、そこから得た情報を生かしながら、企業経営に係るビジネスに生かしていく年にしたいですね。

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  1. 2017/02/28(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】士業のビジネスモデルを考察

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】士業のビジネスモデルを考察

本

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■      今日のおすすめ

 『コンサルタントの教科書』(和仁達也著 かんき出版)

■      年間報酬3千万円越が10年続くコンサルタント(はじめに)

 紹介本の表題の添え題として書かれているのが「年間報酬3千万越が10年続くコンサルタント」です。それは大手コンサルティング・ファームの話ではなく、独立系個人コンサルタントの話です。報酬に関して言えば、個人コンサルタントの場合の一番の壁は、時間に限りがあることでしょう。しかし、著者は、その時間の壁を越え、「年間報酬3千万円の持続安定的コンサルタント」を実現しました。自身の実現プロセスを記述したのが紹介本です。

 私の感覚では「個人コンサルタント年間報酬3千万円」なんて別の世界の話ではと思いましたが、新年に当たり、初心に帰りコンサルタントの在り方を考えてみたいと思い、紹介本を読んでみました。

 そこに大切なヒントがありました。それは一言でいうと、クライアントのビジネスモデルについては一生懸命考えても、自身のコンサルタント業についてのビジネスモデルについては真剣かつ戦略的に考えていなかったことに気付いたのです。

 紹介本には、独立系個人コンサルタントにとって、あるいは士業(税理士、司法書士、弁護士など)をクライアントに持ったコンサルタントにとって、参考になるヒントが、著者自身の体験談として語られています。

 紹介本の中で語られている、著者の体験談の中から、いくつか参考になるヒントを次項でご紹介します。

■      持続的な安定報酬を得る為のコンサルタント・ビジネスモデルのポイント

【コンサルタント・ビジネスの4つのモデル】

 著者は、コンサルタント・ビジネスを①プロジェクト型(問題解決型。3か月から1年以内係る。)②アドバイス型(解決すべき課題達成型。1年以上係る。)③ワークショップ型(ビジョンにフォーカスしたセミナー型。1日~数回のビジョン、目標策定セミナー。)④パートナー型(ビジョンにフォーカスして1年以上の長期で係る。)の4つにまず区分します。その上で、縦軸に「契約期間の長さ」、横軸に「フォーカスポイント(問題点⇔ビジョン)」のマトリックスを作り、①~④を配置します。

 著者は①~③のどの型が良いかの正解はないと言います。しかし、マトリックスの一番上位(契約期間が長く、ビジョンにフォーカス)に来る「④パートナー型」に、①~③を入り口にして、持っていくことが大切と主張します。

① ~③の入り口がなく、最初から④のパートナー型に持っていくのは難しいと思い

ますが、パートナー型に持っていく展望を持っていることは、大切なポイントと思います。

【パートナー型コンサルタントは社外のNO2を目指す】

 著者は、パートナー型コンサルタントは、組織外に居ながら、クライアントの組織のNO2の役割を果たすことと位置付けます。

 現実にそれが可能になることによって、クライアントにとっての利用価値が上がり、成果にも繋がることになります。それによって、契約の長期化と、高い報酬を実現することが出来ると著者は主張します。

 組織外に居ながらクライアントの組織におけるNO2であることには、大きな意味があると私は思っています。組織内の幹部・従業員に話せないことの相談相手になる、また、組織外のNO2だから出来る提案、アドバイスも多くあります。組織外NO2の立場だから、トップと従業員のコミュニュケーションを図ることも出来るケースがあるでしょう。

【コンサルティング技術に関する貴重なノウハウ】

 紹介本には、著者の体験に基づく貴重なノウハウもたくさん書かれています。その中のいくつかをご紹介しましょう。

 まずは、相手のニーズを引き出す技術。「社長これだけ順調にいっていると悩みなんかないですよね?」と質問すると、必ず「いや実は」と言って、社長の悩みごとの独白になると著者は紹介しています。

 次は相談に乗るときの場づくり。相手との間に「安心安全ポジティブな場」を作ることが大切と著者は言います。それには「相手をやる気にさせる言葉使い」と「相手に恥をかかせない言葉使い」が大切と説きます。

 他にも色々と参考になる著者独自の体験談が出てきます。詳しくは紹介本をお読みください。

■      独立系個人士業が持続安定的に成長するには(むすび)

 紹介本を読んで痛感しているのは、私たち独立系個人コンサルタントが、クライアントに語っていることが、自分自身の事業でも出来ているかということです。

 まずは「ミッション」を持つことでしょうか。それは自身の人間性に基づいたものでなくてはなりません。それがクライアントから受け入れられるか、事業を進める際の連携パートナーから受け入れられるか、それによって自身の事業の成否が決まってくるのではないでしょうか。

 次は「ビジョン(自身の事業でどのようなポジションを築きたいか。その為にいつまでに何をするか明確にする。)」を持ち、それを更新していくことでしょうか。自身の「ビジョン」が有ることで、自身の日々の行動が意味の有るものになって来るのではないでしょうか。

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  1. 2017/01/24(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】第二次冷戦と第三次世界大戦

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】第二次冷戦と第三次世界大戦

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本

■      今日のおすすめ

 『中東複合危機から第三次世界大戦へ(イスラームの悲劇)』

(山内 昌之著 PHP新書)

 

■      「第三次世界大戦」の表題にひかれて紹介本を手にする(はじめに)

 最近の私たちの脳裏をかすめる将来の不安を抱かせる世界の事件には、中東にその源を発するものが多いと思います。今から約1年前の2015年11月13日、パリに於いてISによる同時多発テロがあり130名余りの死者を出したことは記憶に新しいですね。このテロ攻撃をローマ法王は「まとまりを欠く第三次世界大戦である」と表現しました。

 著者は、この法王の表現を「これまでの戦争とは異質ながら、世界大戦へ発展する広がりを持った歴史的事象として捉えている」と評価し、それを裏付ける事実をもって検証しようとしたのが紹介本です。著者は、その裏付けの事実を究明する中で、その複雑さを改めて認識し、それを「中東複合危機」と表現しています。特に、シリアの情勢を分析しながら、「第二次冷戦」情勢を見出し、「中東複合危機」と「第二次冷戦」の結合した先に、従来とは異質な「第三次世界大戦」が見えてくるとしています。勿論著者は発生を回避すべきと訴えますが、残念ながら現時点では、著者も、回避策に確信を持てていません。

 私達は、所謂「トンネル史観」ではありませんが、嘗て、古代や中世において、ヨーロッパとアジアを交易で結び付けていたアラビヤ半島や「肥沃な三日月地帯(北エジプト、パレスチナ、シリア、レバノンイラク、イランなど)」に余り関心を持っていませんでした。しかし今はその中東地帯が、世界情勢を象徴的に表す場所となっています。

 見過ごしてはいけない世界情勢の流れとしてその一部をご紹介したいと思います。

 

■      中東複合危機と「第二次冷戦」「第三次世界大戦」

【中東複合危機】

 著者は、中東の秩序は、2014年(ISの国家樹立宣言)以前には戻らないとしています。ヨルダン国王アブドゥッラー二世が著者の質問に答え、「IS掃討には10年かかる」と述べたことを紹介しています。イラクとシリアはスンナ派アラブ地域、クルド人地域、イランに支援されたシーア派アラブ地域、シリアとイラクにまたがるISと4つに分かれ、事実上の国家の解体(アナーキー化)に向かっていると指摘します。

 更に、著者は、トルコの民主主義の没落に代わる「イスラーム=トルコ権威主義」の出現、ロシアの権威・威信を高めるためのシリア戦争の「自分の戦争」化、EUを中心として異宗教・異文化の摩擦や衝突を内包した「中東欧州複合危機」に発展しかねない「難民問題」、「アラブの春」から5年を経て破綻国家や分裂国家の増加に伴うIS現象の拡散など、「中東複合危機」の複雑化・拡散を指摘しています。

【第二次冷戦】

 著者は、「新たな冷戦(第二次冷戦)」という概念を「中東複合危機」の情勢分析に導入しています。中東に限れば、ロシアとイランの動きが該当するとしているのです。ロシアはクリミア半島への執着に始まり、シリア戦争を中東における失地回復と位置付けていると指摘します。イランは、シリア戦争を機に湾岸諸国のシーア派多数派地域への野心を覗かせていると指摘します。

 著者は、第一次冷戦はイデオロギーの差異を基本にする国家間のブロック対立を特徴としていたが、第二次冷戦は、米欧や日本の考える「領土主権の不可侵・係争地の平和的解決・海洋通行の自由など」を否定し、「戦争の勝者が果実として領土や資源を獲得する」クラウゼヴィッツの「戦争論」的考えでブロックを構成していこうとしていると指摘します。このような「第二次冷戦」の兆候を「中東複合危機」の中に見出せるとしているのです。(第二次冷戦国家としては、国際法を無視して海洋進出を進める中国も加えて挙げています。)

 著者は、この第二次冷戦的な要素と、次に述べる「ポスト・モダン型戦争」要素が結び付き、「従来の戦争とは異質な『第三次世界大戦』」の道へ導くと説くのです。

【第三次世界大戦】

 著者は、「第三次世界大戦」の前触れとして「ポスト・モダン型戦争」という概念を持ち出します。それは、自由や人権を基礎とした市民社会や国民国家を尊重するモダン(近代)の原理(モダニズム)を否定しながら、カリフ国家やシャーリア(イスラム法)の実現というプレモダン(前近代)の教理を主張するISが、シリアという領域を超えて各種のテロを世界各地で起こしている事実が「ポスト・モダン(後近代)型戦争」の象徴であると指摘しています。加えて、これはムスリムと非ムスリムの「十字軍戦争」「反十字軍戦争」といったプレモダンからモダンにかけて通俗的に理解される事象ではないと指摘します。各地のテロで見るように、無差別大量殺人を公然と行い、テロの質・量を大きく変化させた点で、「ポスト・モダン」特有の「戦争」と理解すべきであると指摘するのです。

 著者は、ISが開いた「ポスト・モダン型戦争」は、米欧に生まれた若者が受けた就職差別や人種偏見に起因する社会的不満を基盤にしていることは間違いないと指摘します。

 将来、世界の社会・経済状況の推移により、社会的不満が増大し、「ポスト・モダン型戦争」が増加し地域的に拡大するならば、その先には『まとまりのない第三次世界大戦』が見えてくると著者は指摘します。

 

■      世界は不確実性の時代に突入している(むすび)

 この記事を書いている最中に、アメリカの次期大統領がトランプ氏に決まりました。「アメリカファースト」が進むならば、モダニズムは更に後退する可能性があります。まさに世界は不確実性の時代に入ったとみるべきでしょう。

 この様な難しい時代にこそ、私たち企業経営に係る者にとっては、正確に事実のメタを読み、先行きを正確に見通してくことが必要になると思います。

 

【酒井 闊プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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  1. 2016/12/27(火) 12:05:00|
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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】「IS内部」命を懸けた取材

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】「IS内部」命を懸けた取材

メモ

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

【 注 】

 今月は、通常の第4週ではなく、第5火曜日にお届けしています。

■      今日のおすすめ

 『「イスラム国」の内部へ』

(ユルゲン・トーデンヘーファー著 津村 正樹他訳 白水社)

■      西側のジャーナリストとして「IS」を生きて出国した最初の人(はじめに)

 著者は、ドイツで裁判官として勤めた後、CDU(キリスト教民主同盟)の国会議員を経てジャーナリストに成ったドイツ人です。彼は裁判官の経験を通して『真実を求めるには、常に双方との話し合いが必要になる。それは、世間が一定の判断を下した事項についても必要である』との確信を持つに至ったのです。ジャーナリストに成ってからもこの確信の下に活動します。アフガニスタンのタリバンの指導者、大統領のカルザイ、シリアの大統領アサドその他多くのテロリストの指導者、体制派の指導者と会い、紛争の仲介を試み、また多くの著書を出し、その収益金は、アフガニスタン、イラン、イラク等で戦争の犠牲になった子供たちのために寄付をしています。「テロリストの友人」「アサドの友人」「理想主義的風変わりなジャーナリスト」等のレッテルを張られながら、『真実を求める確信』を貫いて活動しているジャーナリストです。

 著者は、『「IS」は「一度決めたら一般市民を殺すことすらも残酷に行う執り行う者たち」なのだろうか』という疑問をぬぐい切れず、「IS」の内部に入り、「IS」幹部、戦闘員、IS支配地内の住民と話し合い、事実を確認しようと動き始めるのです。

 詳細のプロセスは省略しますが、ついに「IS」のカリフ(カリフ国事務局)から、『「IS」内の「旅行許可書(生命保証書)」』を入手します。著者は、この証明書が真正のものか、本当に生命が保証されるのか疑念を持ちながら、「許可証」発行の仲介者を信じ、息子のフレデリック(撮影担当)、とその友人(記録担当)を同行し、「IS」内に入って行きます。

 「IS」は、なぜ「許可証」を出したのでしょう。紹介本から読み取る限り、「著者のIS内旅行を認めなければ、ISの信用に影響する」と考えたのでしょう。それ程、著者の世界的な信用の高さが窺われます。

 さていよいよ著者は、「IS」内に入り10日間の旅をします。その間、計画していた通り、「IS」幹部、戦闘員、IS支配地内の住民など様々な人々と会話をします。息子のフレデリックが「シャーリア(イスラム法)に触れるからやめなさい」と忠告する内容の質問さえもしたのです。

 10日間の旅を無事終え、ドイツに戻ることが出来た訳ですが、著者は従来の姿勢を崩さず、『「IS」内で得た「事実」』と『「IS」共同体の最高の規範である「コーラン」と「事実」』との違いを17項目に纏め、『イスラーム国のカリフと外国人戦闘員への公開書簡』として手紙にしたため、カリフ宛てに出したのです。それが紹介本として発行されたのです。ドイツではベストセラーとなっています。

 17項目の内、特に重要と思われる項目を次の項と結びの項で紹介しましょう。

■      「IS」が意図して広めた野蛮性の精神は「コーラン」の何処にもない

【「宗教的寛大さ」がない】

 著者は、「書簡」にこう綴る。『貴方がた(カリフ及び戦闘員)は、人が、シーア派、アラウィ―派、ヤズイード教徒、民主主義に親しみを感じるスンニー派という理由だけで、残忍に殺害しています。しかし「コーラン」には宗教的問題における強制を禁じています(コーラン第2章256節)。宗教的寛大さは、何世紀にもわたってイスラーム支配者達が最も称賛を受けた徳の一つです。敬愛するカリフよ、どこにあなたの寛大さがありましょうか。』

【「侵略戦争」に対しコーランは禁止している】

 著者は、「書簡」にこう綴る。『預言者(ムハマンド)は決して侵略戦争を行いませんでした。彼はいつも攻撃を受けるばかりでした。ところがカリフのあなたは、あなたに対して何もやっていない、すべての地域、町や村に傍若無人に襲いかかっているのです。(不当な目に遇わされた者が、相手に敢然と挑みかかるのは、〈アッラー〉のお許しが出る〈コーラン22章39節〉。)』

【汝、人を殺すなかれ】

 著者は、「書簡」にこう綴る。『そして、この章が、あなた(カリフ)が最も罪を犯した箇所である。誰かが一人の人間を殺せば、それは人類全体を殺したようなものである。誰かが一人の人間を救えば、それは人類全体を救ったようなものである(コーラン5章32節)。その命を神が不可侵とされた人間をだれ一人殺すなかれ(コーラン6章51節)。』

■      「書簡」における著者の最後の結び(むすび)

 著者は、書簡の最後に次のように綴ります。『あなたの手厚いもてなしに改めて感謝いたします。あなたが支配している国を比較的自由に訪問する機会を与えてくれたことに感謝します。私はいつの日か、本物のイスラーム国を訪問できたらと思っています。その国は西側諸国の不正行為や思い上がりに対して泰然と抵抗できるでしょう。結局ある一つの反イスラーム国しか知ることが出来なかったことは極めて残念です。』

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

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【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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