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  1. 2020/08/25(火) 06:55:09|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】506 イスラム世界の理解を深める

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】506 イスラム世界の理解を深める



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 

 『イスラーム 生と死と聖戦』(著者:中田 孝 集英社新書)

■      イスラム法学者の日本における第一人者の存在を知る(はじめに)


 今日の紹介本の著者は、2014年10月に起きた、某大学を休学中の男子学生が戦闘員として「イスラム国」に渡航を企てていた事件に関連して、事情聴取を受けた「元大学教授」です。その著者の世界観を知ることが、P・E・S・T(政治、経済、社会、技術)の一環として、経営者、経営コンサルタントにとって必要なのかと言う疑問の声があることを承知しています。しかしここで敢えて、私は必要だと申し上げたいのです。何故なら、著者は、私たち日本人が理解できていない、あるいは誤解している「イスラムの世界観」を、イスラム法学者・イスラム教徒の立場から説いているからです。


 私達企業経営に係る者が、今後の世界情勢を予測するとき、或はイスラムを対象とするビジネスを考えるとき、皮相的な知識ではなく、メタな(meta=表面的に見えるもの或は一般的情報の裏にある真実、つまり背後にある、決断の根拠に出来る事実情報)知識を知っておく必要があると思うのです。


 加えて、世界でイスラム教信者は約16億人(キリスト教23億人、仏教5億人)です。これだけ多くの人たちの考え方、状況について、無知に近いならば、グローバルな正しい経営判断は出来ないのではないでしょうか。


 この紹介本の巻末に、著者が第一期生として(また、卒業者の中で唯一イスラム教徒になった)所属した東京大学文学部イスラム学科の後輩である池内 恵氏が第三者的立場から、この紹介本を『日本語でイスラム法学にもとづいた世界認識や法・倫理規範を体系的に日本の読者に理解できる言葉で示したと言う意味での本書のオリジナリティーは高い』と解説していますが、私も自らの知識の浅さを痛感させられました。


 本書を読むことで、どの様な評価・判断をするかは読者のそれぞれの価値観によるとして、イスラムの世界観の理解を深める知見を発見できるのではないでしょうか。「イスラムの世界観の理解を深める知見」を幾つか紹介本からご紹介しましょう。


■      イスラムの世界観の理解を深める知見


【イスラム世界のキー・ワード「カリフ」】


 著者は言います。『ムスリムが掲げる規範的概念としての「イスラム世界(ダール・アル=イスラーム、即ちイスラム法が施行される空間)」とは、現在のイスラム圏、イスラム諸国ではない。歴史上存在した「ダール・アル=イスラーム」に最も近いものは、預言者ムハマンド〈マホメッド〉とその後継者が築いた最初のイスラム国家である』と。


 ムハマンド亡き後の、規範的概念としての「イスラム世界(ダール・アル=イスラーム)」に基づく国家とはどの様なものでしょう。著者の言うところによれば、それはシャーリア(イスラム法即ち、「クルアーン〈コーラン=114章からなる、預言者ムハマンドが天使ガブリエルを通じて受けた神の啓示を集めたもの〉」「ハディース〈97巻からなるムハンマドの言行録〉」)に沿った生活圏が、イスラム世界から承認された唯一人の「カリフ(最高指導者=イマームとも呼ばれる)」によって指導・保護されている状態と定義します。


 まず、この「カリフ」を巡っての考えの相違が、スンニ派(80%)とシーア派(20%)の対立を生じさせました。シーア派の思想は、本来あるべき(ムハマンドとの繋がり)カリフ(イマーム)が正当性を持つとの考えです。これに対して多数派のスンニ派は、カリフは政治的指導者であるから、権力を握った人間が正当な指導者と考えます。この二つの宗派の対立はAD656年のムハマンドの後継者争いに遡ります。ムハマンドの未亡人アイーシャ(初代カリフ、アリー・バクルの娘。ムハマンドのいとこのアリーとは血の繋がりが無く反アリー〈ムハマンドのいとこ〉を唱える)を支持するスンニ派と、ムハマンドのいとこで、ムハマンドの娘婿のアリーを支持するシーア派とが交戦し、結果ムハマンドのいとこのアリーが第4代カリフに就任します。シーア派にとっては、このアリーがシーア派初代カリフになります。その後、ムハマンドのいとこのアリーの血を引く、シーア派の12代のカリフ(イマーム)が続きます。しかし、十二代で途絶え、シーア派は、カリフがガイバした(隠れた)とします(AD874)。シーア派は、「ガイバしているカリフが、最後の審判の日に再臨し、イスラムの死生観のとおり、死者がよみがえり、天国に行く者と地獄に行く者とに分けられる」と考えます。


 スンニ派とシーア派のカリフは、第4代のハマンドのいとこのアリーを除いては、共通していないのです。


 更には、規範的概念としての「イスラム世界」に近かったどうかは兎も角、ムハマンドの死後続いてきた「カリフ」制度が、第一次世界大戦の敗戦により、トルコ帝国が滅び、ムスタッファ・ケマルパシャを指導者とするトルコ革命によって、1923年10月にトルコ共和国が誕生し、翌1924年には「カリフ」をイスタンブールから追放。これにより「カリフ」制が途絶え、以降約90年の間カリフ制の空白が続いていました。この空白をついて、アブー・バクル・アル=バクダーディーを「カリフ」とする「イスラム国」が2014年6月出現したと著者は説明します。勿論「イスラム国」の「カリフ」が莫大なムスリムの信任を得られるかについて、著者は悲観的と言います。


 また、トルコ帝国の衰退に伴い、イスラム圏は、西欧諸国の植民地支配にさらされました。第一次世界大戦、第二次世界大戦の後に、現在のイスラム諸国が西欧の植民地支配から独立します。著者は、これを「カリフ」不在の「領域国民国家(西欧的近代国家)」と呼び、規範的概念としての「イスラム世界」とは程遠い状況と言います。


 「カリフ」というキー・ワードに絡めて、イスラム諸国の状況を見てきましたが、NATOにも加盟し、立憲議会制民主主義(三権分立も確立されている)のトルコ共和国から、終身制のイスラム法学者が最高指導者として政治権力の頂点に位置するイスラム法国家のイラン・イスラム共和国まで、まるで、モザイク模様のように複雑なイスラム諸国に、平和が訪れる道筋は、残念ながら簡単には見えてこないというのが私の感想です。 


【「ジハード」の教義が過激行動を生む】


 著者によれば、ジハードとは『イスラム法に従うならば、異教徒の攻撃からの自衛に限定される戦闘行為』『異教徒がイスラム圏に攻め込んできた際に、イスラム社会を守るための防衛、抵抗、反撃する行為であり、カリフの命令がなくても、各人の主体性に任されている行為』と定義します。一方『ダール・アル=イスラーム(イスラム法が施行される空間)を拡大するためのジハードは、ムスリムの権威である「カリフ」の命令が必要となる』と定義します。


 この定義(教義)を読むと、誤った解釈や解釈の拡大により、過激行動やテロ行為が起こる可能性を否定できないのではと思うのです。残念ながら、今後も世界の様々な場所で、過激行動やテロ事件が起こることが予想されます。



■      イスラム諸国の混迷は身近なこと(むすび)


 著者は、『真の「カリフ」制の再興される道筋を考えるのが自身の務め』と結んでいます。それは読み換えれば、現在あるイスラム領域国民国家群が、理想的リーダーのもとで、スンニ派、シーア派、クルド人等、民族・宗派を超えて、融合していくのが良いとも取れるわけで、簡単ではないと読み取れます。その意味では、イスラム諸国の混迷は簡単に収まらないと読まざるを得ないのではないでしょうか。私達企業経営に係る者は、イスラム圏の状況をリスク管理にどの様に織り込むかがポイントになると思います。最早、遠くの世界のことではなく、身近な問題として捉えていく必要があるのではないでしょうか。



【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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  1. 2020/08/06(木) 15:02:58|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】412 日本人はなぜ国際人になれないのか


■■【経営コンサルタントのお勧め図書】412 日本人はなぜ国際人になれないのか

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

    今日のおすすめ

 

『日本人はなぜ国際人になれないのか』(著者:榊原 英資 東洋経済新報社)

■ 日本人、日本文化の強みと弱み(はじめに)

 私達コンサルタントは、状況を把握するのに、SWOT分析ということを頭に浮かべます。SWOTとは、S(強み)、W(弱み)、O(機会)、T(脅威)の4つの視点で対象となる課題を捉える手法です。

 

 この紹介本は「日本人の国際化」について、強みは「日本人、日本文化のユニーク性」を上げています。弱みとして「折角持っている日本人、日本文化のユニーク性を発信する力の弱さ」を上げています。機会としては、「日本人、日本文化のユニーク性を発信できたら、海外現地工場の運営、外国人観光客の増加等様々なグローバル化の局面で良い効果(ユニーク性のグローバル化)を生むことが出来る」としています。脅威としては「日本人、日本の文化のユニークさ故に生まれた、日本の社会保障制度・規制などの機能不全」を上げています。

 

 私は、著者の考えは一つの考え方と思います。しかし、それだけかなと考えさせられます。私は、弱みとして次の二つを加えるべきと思います。

 

 一つは日本人の宗教IQの世界的に見た低さです。江戸時代の「寺請制度」が日本人のDNAに、宗教に対する無関心あるいは嫌悪感を植えつけてしまった事です。この事が、宗教IQの高い外国人とのコミュニュケーションに著しい障壁を作ってしまっています。また、外国人の持っている価値観に対する理解力を低いものにしています。このことはグローバリゼーション(商品・サービス力や海外進出における現地化、外国人の受け入れ)において、マイナスとなっているのではないでしょうか。

 

 最近「ダイヤモンド」誌で、「宗教」特集号(11月15日号)が出ました。日本人も漸く自らの課題に気付き始めたかなと感じました。その一部をここにご紹介します。『欧米人は・・・相手の宗教も自分の信じる宗教もはっきりしていない日本人とは根本的に異なる。偏見はない代わりに、相手を理解する術をもっていない日本人は、見た目は大人でも、小学生レベルの会話しかできない。国際社会ではそう見られている。』

 

 二つ目は、ルース・ベネディクトの「菊と刀」や土井健郎の「『甘え』の構造」が指摘する日本人的思考、つまり、「集団主義」的思考、「自分がない」的思考が、世界における日本人の好感度にはプラスになっても、「不確実性」の時代におけるグローバリゼーションの障害となっているのではと思うのです。 

■ 他国と比較した日本文化のユニークさ


【日本とイギリス】

 

 著者は、日本とイギリスの共通点と決定的な違いを挙げながら、「国際化」という点で、強いイギリスと弱い日本という結論を導いています。

 

 共通点は、温暖な気候、豊な自然、綿工業の発展を基盤とした経済発展、外国の攻撃を受けにくい地理的条件(島国)などを挙げています。

 

 決定的な違いは、同じ島国でありながら、イギリスは大陸から渡りやすい地理的条件であったことに対し、日本は、日本海の荒波に隔てられた大陸から渡りにくい地理的条件であったとします。この結果イギリスはヨーロッパ大陸の諸民族の征服の対象になり、まさに戦争国家になってしまったというのです。このあたりの記述は、ヨーロッパの歴史を振り返るには面白いと思います。一方、日本は日本海の荒波と台風の お陰で大陸からの侵略を受けることなく平和な国家を築く事ができたといいます。

 

 この決定的な違いにより、イギリスは軍備を拡張し、海上制覇を果たし、世界に植民地を作り、海洋帝国として発展します。一方日本はというと、基本的に「和」の環境の中で、ユニークな日本人と日本文化を築き上げてきたと言います。結果として、「国際人」の観点から見ると、強いイギリス人、弱い日本人を創り上げたというのです。

 

【日本とインド】

 

 著者が、日本の好対照として挙げているのがインドです。単一性の日本に対し、多様性の“るつぼ”であるインド。宗教、民族、言語、どれをとっても対照的だというのです。このあたりの記述も面白いです。世界の交易の中心として、他国から狙われ、征服されてきたインドに対し、アジアの端っこに位置し、朝鮮半島経由の中国の影響以外、近世まで海外からの影響を殆ど受けなかった日本。ここにもユニークな日本人、日本文化が築かれたバックグラウンドがあったと指摘します。

 

【日本人、日本文化のユニークさを認識した上で】

 

 このユニークさを強みとしてどう生かしていくのか、一方弱みと認識し、どう克服していくのか、それが課題ではないかと私は思うのです.

■ これからの日本の課題はグローバリゼーション(むすび)

 

 今、日本は人口問題という大きな問題を抱えています。それは、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、生産年齢人口(1564歳)が、2010年は8,173万人でしたが、50年後の2060年には4,418万人と45%減少し、老年人口(65歳以上)は、2010年の2,948万人から2030年には3,685万人、そして2060年には3,464万人と横這いが続くとしていることです。この人口問題を解決するキー・ワードは、グローバリゼーションです。

 

 海外企業の日本への進出受け入れ、外国人労働者の受け入れ、外国人観光客の受け入れ、海外マーケットにおける商品・サービスの競争力の強化、いずれをとってもグローバリゼーションが課題となります。著者の言う「英語の公用語化」もその一つでしょう。それだけでは解決できません。

 

 著者の言う、日本人、日本文化のユニークさは大切な強みですが、それを維持しつつグローバリゼーションに向けて、日本人が良い意味で変っていく、つまり、発信能力・受容能力を強める為にどうしたら良いかを真剣に考える時に来ているのではないでしょうか。

 


【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

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  1. 2020/07/17(金) 09:41:41|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】409 5Sの進め方

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】409 5Sの進め方


 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

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     今日のおすすめ

 『5Sによるコストダウンの進め方』(吉原 靖彦著:中経出版)


     生産現場のツボ知りたいですか(はじめに)

 製造会社の経営管理や経営企画部門の方々、或いは製造現場を経験しておられないコンサルタントの方々は計数による管理や経営戦略立に優れておられても、生産現場のことを肌で理解しておられる方は少ないのではないでしょうか。

 しかし、製造会社の場合、売上高に占める生産現場に係るコスト(製造原価)は60~70%に上るのではないでしょうか。

 生産現場のことを知らずして、経営管理・経営企画が不十分なことは、よくご承知と思います。

 この本を読むと簡単に生産現場のポイントが判ります。BeforeAfterでは大きく違う事を分かって頂けるのではないでしょうか。


    生産現場のことが手に取るように分かります


【材料費削減は所要量に注目】

 製造原価の中で一番比率の高いのは材料費です。ほぼ半分を占めます。材料単価の低減は当然のことながら、著者は不要材料(陳腐化、品質劣化による)、歩留の悪さによるムダ、材料取りの効率の低さによるムダ、加工ロスによるムダ、過剰な加工代によるムダの排除による所要量の削減により5~10%の材料費の削減が可能と言っています。

 こんな情報取れていますか。早速行動に移しましょう。


【IE(Industrial Engineering)手法による工数削減】

 材料費の次に高いのは直接労務費です。製造原価の約15%を占めます。先ずはIE手法のワークサンプリング分析を使うのが最適です。こんなに多くの作業項目があるのですか。この本を見てびっくり。早速やって見ましょう。

 このほか動作分析や要素作業時間分析による工数削減についても書かれています。「動作意識」課題を持つことや、「動作経済原則」を使った、工数改善のための動作改善策の洗い出しなどの手法も興味深いですね。


【コストダウンに直結する5S】

 先ずはムダの排除(生産性のアップ)策。(工具、機械などの)位置の管理による作業性の向上、(仕掛品や組立て部品の)量の管理による作業性の向上、(作業手順、段取り手順などの)流れの管理による作業性の向上等、読んでいるだけでアイデアが浮かんできて楽しくなりますよ。他にも参考になる事がたくさん書かれています。


    「現場・現物・現実」を自信を持って見れるようになります(むすび)

 『現場」に行って、「現物」が「現実」の中でどのように動いているかを知ること』それが「三現主義」と言われているものです。「三現主義」は知っていたけど、『現場』に行って、何を質問したら良いか、何をチェックしたらよいか迷っておられた方々、もう安心です。

 この本を読んで、チェックリストを作ります。チェックリストは大項目・中項目・小項目と区分を分けて作るといいですね。チェック項目が多くて大変ですね。良く理解して作ってくださいね。質問のリハーサルもしてください。よく理解出来ていればリハーサルもすらすらできます。

 準備万端の様ですね。頑張って生産現場に行ってください。生産現場の皆さんから尊敬の眼差しで見られますよ。よく出来ている所は褒めてあげましょう。生産現場が活性化することを願っています。


【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/


【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


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  1. 2020/07/09(木) 15:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】0922 日本経済低成長からの脱却 松元 崇 著

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】0922 日本経済低成長からの脱却 松元 崇 著  NTT出版

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

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■      今日のおすすめ

 

『日本経済低成長からの脱却』(松元 崇 著  NTT出版)

 

 

■ 日本経済低成長から脱却することの意義(はじめに)

 著者は、内閣府の元次官で、アベノミクスの立ち上げに参画した経験を有します。その様な著者が政権の当事者ではなく、第三者として客観的に日本経済を俯瞰し、日本経済の課題の核心を突き、対応策を提言しています。著者が指摘する現在の日本経済の問題点を以下で見てみましょう。

 

【世界の中で縮み続けている日本】

 世界の経済構造が1990年代以降大きく変わりました。それは、IT技術の進歩と通信コストの激減と自由貿易体制(米中もEUも保護主義的な政策をとりながらも、自由貿易が大切との看板は下ろさない)により、モノの生産という点で、世界が一つの国になったことです。世界は、グローバルな競争の中で、得意分野に経営資源を集中し、不得意分野は切り捨てる、「選択と集中」の時代になったのです。しかし、日本国内では雇用慣行などにより「選択と集中」が難しく(特に撤退が難しい)、日本企業は、撤退の伴うリスクは海外で投資をする形になってしまい、国内経済成長の低下要因になっているのです。技術革新力、研究開発費はOECDの中で、ドイツ・アメリカと並んでトップクラスにも拘らず、企業が国内の投資に向けない結果、成長率低下の一因となっているのです。

 

【成長会計から分析する日本の経済成長率の低迷】

 日本が低成長になっている事を、成長会計という手法で分析しています。経済成長には①技術革新など②資本③労働力が必要とされます。労働と資本の貢献以外を全要素生産性=TFP(total factor productivity)という概念で捉える理論です。著者は「スエーデン型」と「米国型」を示し、日本と比較し、日本のみが国内における機械・設備等(=資本)の投資が小さく、低成長の大きな要因とします。著者は少子化による労働人口の減少は、労働生産性の向上に加え、資本とTFPの増強で十分カバー出来ると考え、その中でも特に、日本国内への「資本」の増加が成長力強化に有効であると説くのです。2018年のGDP成長率は、アメリカ2.86%、スエーデン2.34%に対し日本は0.81%(IMF統計)。約2%の格差の内、日本国内への資本投資の少なさによるGDP成長率の低下要因を1%と見積もった場合、毎年5.5兆円のGDPが失われている事になります。これが既に20年以上続いたことにより、110兆円(5.5×20)が失われたことになります。結論として著者が言いたいことは、スエーデンは負担が高いと思われているが、日本も低成長の結果として、高い負担と同等の「隠れた増税(得られるべき所得が得られない)」が行われ、これからも「隠れた増税」が続くと言う事です。『「選択と集中」環境+高福祉の「スエーデン型」』を選ぶか、『「選択と集中」環境+格差社会の「米国型」』を選ぶか、『「選択と集中」環境がなく「隠れた増税」』を続けるのか、日本は今、その選択を求められているのです。

 

【労働生産性が伸びず賃金も上がらない元凶は日本の労働慣行】

 「選択と集中」環境を損なっている元凶は、終身雇用制、解雇権濫用法理、「ジョブ型」ではない「メンバーシップ型」労働契約・採用、等にあるとします。詳細は紹介本に譲るとして、一朝一夕では変えることのできない難しい課題が存在することを認識しておきたいと思います。

【働き盛り世代の貧困を回避し、年金制度を維持するには、低成長からの脱却が必須】 

 いわゆる2060年問題、それは高齢者一人を現役世代一人が支える時代です。2015年にGDP比25%の社会保障費は、45年後には30%になると推計されています。もし毎年経済成長率が1%アップすれば、45年後にはGDPが45%増えます。又日本の労働生産性が米国の約半分ですが、これを米国並みにすれば、現役世代の人口が倍増したのと同じ効果があります。つまり、著者のメインテーマは、社会保障の持続可能性の維持、それを支える側の所得(一人当たりGDP)を大きくして行く事、その為に低成長から脱却し先進諸外国並みの経済成長力を達成する事なのです。

 

■ 日本経済低成長から脱却するための提案

 「低成長からの脱却」について、著者の考えを、ご紹介しましょう。

【「働くことの幸せ」を国も一緒に創り上げるー国が現状を変える先行投資をー】

 著者の主張のポイントは、日本国内市場が、日本企業は勿論、世界の企業から選ばれる市場にすることです。つまり、『思い切った「選択と集中」』が出来るよう、日本の雇用市場を柔軟なものに改革することです。単に柔軟にするだけでは、格差社会が広がる「米国型」になってしまいます。転職する人がキャリアアップして、所得が増える仕組みを作っていく「スエーデン型」を目指すべきとの主張です。その様な社会になれば、「働くことの幸せ」が広がり、労働生産性も大きく向上します。

 しかし、その様な社会は簡単にできません。「選択と集中」による転職する人の生活を十分に支え、キャリアアップし、生産性の高い企業に再就職させる仕組みを作るには、国の現状を変える先行投資が必要です。

 投資の財源を、将来世代の負担を避ける方法で行うには、増税が必要です。しかし、今の日本の民主主義の下では、この種の重要な事項についての議論が十分に行われないのが現実です。著者は、真剣な議論のきっかけになればとの思いで、本書を著作したのです。

 戦後営々と築き上げて来た、分厚い中間層が消滅しないために、豊かな未来を子供たちに残してやるために、政治家も国民も真剣に議論してほしいと著者は結びます。

 

【日々進化する企業経営を】

 紹介本では、成長率を高めるための企業経営について多くの知見を紹介しています。その中で目に留まった一つをご紹介しましょう。  著者が引用している斎藤ウイリアム浩幸氏(日系二世の起業家)の発言です。「日本には(グループはあるが)チームがない」「イノベーションが加速する世界で、個人、企業、国家が生き延びるためには、異質な価値観、異質な才能、異質な文化を持つ人がチームを組んで、共通の目標のために助け合うことが絶対条件」という発言です。人的資源が豊かな日本で、「米国型」の経営を取入れ、破壊的創造による新たなモノ・サービスを増やし、成長率を上げる必要性を説きます。

 

■ 「日本経済低成長から脱却するための提案」に真摯に取組もう(むすび)

 紹介本により、高齢化・人口減少時代に、日本の世界における下降トレンドに歯止めを掛けるヒントを得られたことです。それは、日本の現実に希望を持つ事でもあります。将来を見据え、希望を持って、低成長から脱却する経営を目指しませんか。それは、人口減少社会の課題克服という社会貢献に繋がります。

 

【酒井 闊 先生 プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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  1. 2020/07/03(金) 11:28:47|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】0922 日本経済低成長からの脱却 松元 崇 著

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】0922 日本経済低成長からの脱却 松元 崇 著  NTT出版

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 

『日本経済低成長からの脱却』(松元 崇 著  NTT出版)

 

 

■ 日本経済低成長から脱却することの意義(はじめに)

 著者は、内閣府の元次官で、アベノミクスの立ち上げに参画した経験を有します。その様な著者が政権の当事者ではなく、第三者として客観的に日本経済を俯瞰し、日本経済の課題の核心を突き、対応策を提言しています。著者が指摘する現在の日本経済の問題点を以下で見てみましょう。

 

【世界の中で縮み続けている日本】

 世界の経済構造が1990年代以降大きく変わりました。それは、IT技術の進歩と通信コストの激減と自由貿易体制(米中もEUも保護主義的な政策をとりながらも、自由貿易が大切との看板は下ろさない)により、モノの生産という点で、世界が一つの国になったことです。世界は、グローバルな競争の中で、得意分野に経営資源を集中し、不得意分野は切り捨てる、「選択と集中」の時代になったのです。しかし、日本国内では雇用慣行などにより「選択と集中」が難しく(特に撤退が難しい)、日本企業は、撤退の伴うリスクは海外で投資をする形になってしまい、国内経済成長の低下要因になっているのです。技術革新力、研究開発費はOECDの中で、ドイツ・アメリカと並んでトップクラスにも拘らず、企業が国内の投資に向けない結果、成長率低下の一因となっているのです。

 

【成長会計から分析する日本の経済成長率の低迷】

 日本が低成長になっている事を、成長会計という手法で分析しています。経済成長には①技術革新など②資本③労働力が必要とされます。労働と資本の貢献以外を全要素生産性=TFP(total factor productivity)という概念で捉える理論です。著者は「スエーデン型」と「米国型」を示し、日本と比較し、日本のみが国内における機械・設備等(=資本)の投資が小さく、低成長の大きな要因とします。著者は少子化による労働人口の減少は、労働生産性の向上に加え、資本とTFPの増強で十分カバー出来ると考え、その中でも特に、日本国内への「資本」の増加が成長力強化に有効であると説くのです。2018年のGDP成長率は、アメリカ2.86%、スエーデン2.34%に対し日本は0.81%(IMF統計)。約2%の格差の内、日本国内への資本投資の少なさによるGDP成長率の低下要因を1%と見積もった場合、毎年5.5兆円のGDPが失われている事になります。これが既に20年以上続いたことにより、110兆円(5.5×20)が失われたことになります。結論として著者が言いたいことは、スエーデンは負担が高いと思われているが、日本も低成長の結果として、高い負担と同等の「隠れた増税(得られるべき所得が得られない)」が行われ、これからも「隠れた増税」が続くと言う事です。『「選択と集中」環境+高福祉の「スエーデン型」』を選ぶか、『「選択と集中」環境+格差社会の「米国型」』を選ぶか、『「選択と集中」環境がなく「隠れた増税」』を続けるのか、日本は今、その選択を求められているのです。

 

【労働生産性が伸びず賃金も上がらない元凶は日本の労働慣行】

 「選択と集中」環境を損なっている元凶は、終身雇用制、解雇権濫用法理、「ジョブ型」ではない「メンバーシップ型」労働契約・採用、等にあるとします。詳細は紹介本に譲るとして、一朝一夕では変えることのできない難しい課題が存在することを認識しておきたいと思います。

【働き盛り世代の貧困を回避し、年金制度を維持するには、低成長からの脱却が必須】 

 いわゆる2060年問題、それは高齢者一人を現役世代一人が支える時代です。2015年にGDP比25%の社会保障費は、45年後には30%になると推計されています。もし毎年経済成長率が1%アップすれば、45年後にはGDPが45%増えます。又日本の労働生産性が米国の約半分ですが、これを米国並みにすれば、現役世代の人口が倍増したのと同じ効果があります。つまり、著者のメインテーマは、社会保障の持続可能性の維持、それを支える側の所得(一人当たりGDP)を大きくして行く事、その為に低成長から脱却し先進諸外国並みの経済成長力を達成する事なのです。

 

■ 日本経済低成長から脱却するための提案

 「低成長からの脱却」について、著者の考えを、ご紹介しましょう。

【「働くことの幸せ」を国も一緒に創り上げるー国が現状を変える先行投資をー】

 著者の主張のポイントは、日本国内市場が、日本企業は勿論、世界の企業から選ばれる市場にすることです。つまり、『思い切った「選択と集中」』が出来るよう、日本の雇用市場を柔軟なものに改革することです。単に柔軟にするだけでは、格差社会が広がる「米国型」になってしまいます。転職する人がキャリアアップして、所得が増える仕組みを作っていく「スエーデン型」を目指すべきとの主張です。その様な社会になれば、「働くことの幸せ」が広がり、労働生産性も大きく向上します。

 しかし、その様な社会は簡単にできません。「選択と集中」による転職する人の生活を十分に支え、キャリアアップし、生産性の高い企業に再就職させる仕組みを作るには、国の現状を変える先行投資が必要です。

 投資の財源を、将来世代の負担を避ける方法で行うには、増税が必要です。しかし、今の日本の民主主義の下では、この種の重要な事項についての議論が十分に行われないのが現実です。著者は、真剣な議論のきっかけになればとの思いで、本書を著作したのです。

 戦後営々と築き上げて来た、分厚い中間層が消滅しないために、豊かな未来を子供たちに残してやるために、政治家も国民も真剣に議論してほしいと著者は結びます。

 

【日々進化する企業経営を】

 紹介本では、成長率を高めるための企業経営について多くの知見を紹介しています。その中で目に留まった一つをご紹介しましょう。  著者が引用している斎藤ウイリアム浩幸氏(日系二世の起業家)の発言です。「日本には(グループはあるが)チームがない」「イノベーションが加速する世界で、個人、企業、国家が生き延びるためには、異質な価値観、異質な才能、異質な文化を持つ人がチームを組んで、共通の目標のために助け合うことが絶対条件」という発言です。人的資源が豊かな日本で、「米国型」の経営を取入れ、破壊的創造による新たなモノ・サービスを増やし、成長率を上げる必要性を説きます。

 

■ 「日本経済低成長から脱却するための提案」に真摯に取組もう(むすび)

 紹介本により、高齢化・人口減少時代に、日本の世界における下降トレンドに歯止めを掛けるヒントを得られたことです。それは、日本の現実に希望を持つ事でもあります。将来を見据え、希望を持って、低成長から脱却する経営を目指しませんか。それは、人口減少社会の課題克服という社会貢献に繋がります。

 

【酒井 闊 先生 プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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  1. 2020/07/03(金) 09:59:10|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】410 現場から見た「中国の真実」

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】410 現場から見た「中国の真実」

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■     今日のおすすめ

 『中国の大問題』(著者:丹羽 宇一郎 PHP新書)

■     五現主義から見た中国(はじめに)


 私達コンサルタントは、状況を把握するのに、5現主義ということをまず頭に浮かべます。5現主義というの「現場」「現物」「現実」「原理」「原則」を言います。簡単な考え方ですが、コンサルティングの基本で、極めて重要な考え方です。

 この紹介本の素晴らしさは、著者が中国の問題について現場主義を貫き、語っているところです。著者は、現場を足で歩き、目で見て、口と耳と目でコミュニュケーションをし、そこから真実は何かを語ります。

 大使在任中、著者は33ある一級行政区のうち27を回り、現地一般人との対話は勿論、27の行政区の最高責任者全てと会っています。そこには、私たちが持っている中国に関する常識を、大きく変える事実が存在します。元中国大使の丹羽宇一郎でなくては語れない真実があります。

 日頃、私たちは隣国中国に関して並々ならぬ関心を持って、講演会やセミナーに参加をし、知見を学んできました。時にはネイティブの中国人の発表者から聞くこともありました。それらの講演会やセミナーから得た知見は、日本人の嫌中派が95%という数字が示すように、講演会やセミナーの聴衆である日本人の中国観を意識したものであったようにも思えます。

 しかし、丹羽中国論は、現場の事実から、悪い現実も、良い現実も、つまびらかにし、そこから「原理・原則」「問題解決法」を示しています。是非この紹介本を読み、皆さんの持っている中国論を検証してください。「目からうろこ」が沢山あるのではないでしょうか。

■      新しく知った中国観と再確認した中国観


【重慶とドイツを結ぶ国際貨物列車】


 著者は、現在の中国の経済状況を「世界の工場」から、「世界の市場」へという象徴的表現で表しています。具体的には、2014年1月に中国税関総署が発表した、2013年の輸出入総額は、4.16兆ドルとサービス分野を除くモノの貿易額では米国を抜いて世界首位である。日本の代表的産業である自動車の中国国内における販売台数のシェアは、2008年に25.8%であったものが、2012年には16.4%に減少している。これは、ドイツ、フランスなどの世界各国が14億人の巨大市場を狙い始めている結果といえる。その象徴的ともいえる物流動脈が、新しく重慶とドイツのデュッセルドルフを結ぶ11,179kmに及ぶ国際貨物列車である。これにより、ドイツはヨーロッパのナンバーワンの中国の貿易相手国に上がってきた。日本では反日デモ以来、「チャイナ・リスク」が高まっているが、著者は中国の経済構造の変化や対日意識を、経営者は自ら歩いて判断すべきと薦めている。


【反日的ばかりではない】


 日本人に会ったことのない中国人が98%と著者は言う。著者は更に、「日本人に会ったことのない中国人の日本人に対するイメージは、軍服姿のイメージしかない。そんな中国に親日を期待するのは難しい」と言う。しかし著者は次の親日的事実を挙げる。JICAのODA(政府開発援助)の資金で派遣されるボランティアが2,3人単位で中国各省に2年間滞在する(嘗ては総勢100人位であったが今は40人程度に減っているそうだ。)。彼らは、日本語教師や病院での医療・介護などに力を尽くしている。彼らがその土地を離れるとき、現地の中国人たちは、涙を流しながら「また来て下さい」と口にするという。日本人がいかに優しいか、接してみれば、徐々に中国人の日本に対する感情は変わる。胡錦濤や李克強が若いころ日本に学び親日派であるように。


【世界は意外と中国を好意的に見ている】


 日本人の中国に対する好感度は先にも述べましたように5%と低い数字です。しかし、「ビュー・リサーチ・センター(米国)」の調査によると、アメリカ、ヨーロッパは4~5割、ラテンアメリカやアフリカは6~7割が中国に高感度を持っている結果が出ている。この要因として、著者は、中国の技術やソフトパワーを評価している点や、中国が各国に進出し、経済支援をしている点を上げている。そして、これから人口が増えるアフリカやラテンアメリカの地域において、中国の存在がアメリカに匹敵するほど大きくなっていることを指摘する。

 日本人の抱いている中国に対するイメージは、国際的には大きなギャップがある。このことを認識すると同時に、日本企業がグローバル化を更に進める中で、この現実を認識し織り込んだ戦略を展開する必要があると読み取りたいと思います。


【尖閣諸島国有化問題】


 尖閣諸島国有化問題のメタ(奥底にある真実)は何か、それはこの紹介本を読んでいただくとよく判ります。この問題の発生の原因となった、国有化のタイミングを間違えた稚拙な日本の外交についても、述べられています。著者がこの問題の解決法として、日中双方が『「あなたと私とで話し合っても解決はしない。解決できない話をしても仕方がない。では私たちにできることはないか。」そんなふうに互いが了解できることからはじめればいい』と提言しています。過去の日中外交の歴史から見ても、現実的な解決法ではないでしょうか。

■     日本と中国の課題(むすび)


 著者は、中国を主に世界を俯瞰してきた中で、将来の日本の問題と絡ませながら、こう結論付けている。『中国を決して侮ってはいけないし、かといって、過剰にひるむ必要もない。中国を知れば知るほど、日本にとって中国市場の開拓はまだまだ十分に可能であり、中国も日本の技術や助けがなければ大きな困難に直面するだろう。日本のためにこそ、中国と互換関係を築いていくことが必要だ』と述べている。

 この様な結論の出てくる事実を、この紹介本から読み取り、私たちが持っている中国観を見直す必要を痛感しました。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

  

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  1. 2020/06/30(火) 07:46:28|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】200623 進化するデジタルトランスフォーメーション

 

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】200623 進化するデジタルトランスフォーメーション「Beyond2025」

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■      今日のおすすめ

   『進化するデジタルトランスフォーメーション「Beyond2025」』  

               (SAPジャパン 松井昌代監修 プレジデント社)

■ DX「Beyond2025」とは(はじめに)

 

【経済産業省のDXとは】

 経済産業省の「DXを推進するためのガイドライン(2018.12.12)」では、DXについて次のように定義をしています。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネス・モデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と。

 

【経済産業省の「2025年の崖」とは】

 経済産業省の「DXレポート(2018.9.7)」では、『複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025 年までに 予想される IT 人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、2025 年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍。2025以降経済損失算定根拠は「DXレポート」参照。)にのぼる可能性があるとし、この場合、ユーザ企業は、爆発的に増加するデータを活用しきれずに DX を実現できず、デジタル競争の敗者となる恐れがある』とし、DXを実現し「2025の崖」を克服する必要性を訴えます。

 

【紹介本の『進化するDX「Beyond2025」』から学ぶ】

 紹介本の著者のSAPジャパン・Industry Thought Leaderメンバー19名(以下“SAP・ITLM19”と略称)が著書『進化するDX「Beyond2025」』を通して著書のコンセプトを次のように示しています。『「2025」という数字が、経産省「DXレポート」より7年前の2011年に、リンダ・グラットン教授(人材論・組織論の世界的権威)の著書「“ワーク・シフト”孤独と貧困から自由になる働き方(2025)」に表されており、著書の中でグラットン教授が予言している“5つの要因、32の現象の全てが現在実現していることに注目し、経産省の「DXレポート」や「DX推進ガイドライン」で示すテクノロジーの進化中心ではなく、テクノロジーの進化・DXを手段として、あるべき未来を見据えた取組みをし、「“ワーク・シフト”(2025)」の理念を超えたい』が“SAP・ITLM19”のコンセプトでした。

 この様なコンセプトの下、紹介本を通じて、SAPの取組んだソリューション提供事業を5章の章立て、34の事例により紹介しています。

 これらの取り組みが、結果としてSAPのコーポレートビジョンである“Help the word run better and improve peaple’s lives”と重なったとSAP・ITLM19は誇りを持って語っています。

 次項で34の取組み事例から注目したいソリューション提供事業3つをご紹介します。

 

■ SAPのベンダーとしてのDXへの取組み事例から学ぶこと

 

【SBBの“再生可能”をテーマにした電力デマンドマネジメント】

 SBB(スイス連邦鉄道)はスイス全土の60%を保有する鉄道会社です。現在消費電力の92%は水資源を主とした再生可能エネルギーで賄っています。2030年までに消費電力は20~30%増加すると見込みます。増加分を含め2025年までにこれを100%にする目標を掲げ、SAP HANA Streaming Analyticsを利用してリアルタイムの電力需要データを収集(ストリーミングデータをオンザフライ方式により収集)し、電力ピークを予測し暖房温度(SBBは冬の需要が大きい)を自動的に下げることで電力消費を抑制(ピークシェービング)し目標を達成する実証試験を行っています。

 このシステムの稼働を有効にするため4000両の車両の改修を進めています。これによりSBBの消費電力に対応するための再生可能電力インフラを新たに造るコスト(100億円)に比し半分のコストで済むという計算をしています。

 日本でも東急電鉄が2050年までに再生可能エネルギーによる消費電力調達比率100%を目指し、2019年10月から取り組んでいます。

 

【非デジタルネイティブ(デジタル化の遅い電力事業など)のクラウド化への挑戦】

 イタリアのEnel社(大手エネルギー事業会社)は日本全国の顧客の70%に当たる6000万(イタリア国内3200万)の顧客を持つ非デジタルネイティブ電力会社です。Enelは、電源の再生可能エネルギーへの移行、分散型電源の増加に対応するためのデマンドレスポンスの最適化対応、データに基づく分析型の設備メンテナンスへの移行、顧客に向けたスマート商品によるサービス提供などを進めるため、Everything“as a Service”(全てのシステムをクラウド化しビジネスを加速化・最適化・効率化・「モノ」から「コト」へのサービス化などを実現)をゴールに定めDXを進めています。

 EnelはDXの最初のステージで、SAP HANA Enterprise Cloud上で、SAP公共企業向け料金計算ソリューションを使い、イタリア国内3200万の顧客の料金計算をクラウド上で実現(検針の自動化)しました。

 日本の非デジタルネイティブ事業(電力、ガス事業)で、Enelと同様以上のDXを実現し、労働人口減少・SDGsへの対応などの社会貢献の実現を期待したいです。

 

【新たな差別化が生まれる“X-Dataからの顧客体験”】

 SAPは、従来は、企業が業務データ(Operational data以下O-Data)を基にPDCAサイクルを回すソリューションを強みとしていました。しかし、O-Dataの前段階の体験データ(Experience Data以下X-Data)が業務改善の成功率を高める最善策となるケースを発見し、X-Dataをビジネスプロセスに取込み、O-Dataと組み合わせPDCAサイクルを回すことで改善の最善策を打てる包括的ビジネス基盤を提供しようとX-Dataの取り込みに強いQualtrics社を買収し、提供体制を確立しました。

 そのソリューション提供事例が、アメリカ東海岸に拠点を置く格安航空会社のjet- Blue Airwayのケースです。このソリューションの特徴は、①顧客の声を収集し、②そこからインサイト(潜在的な購買要求)を抽出・提示、③改善アクションを促す、エクスペリエンスマネジメントプラットフォームを提供することです。

 jet-Blueは、このソリューションを活用して得た、カスタマー及び従業員のX-Dataを改善策に用いた結果、年間コスト削減300億円、改善したネットプロモータースコア(NPS;顧客ロイヤリティーを測る指標)が13ポイント改善、年間増収額400億円を実現しました。

 jet-Blueは「人間性を養い高めることを」をミッションとして掲げています。ソリューションから得られたX-Dataに基づくお客様の声を現場(フロント)に届けると同時にカスタマーファーストのきめ細かい即時対応を最優先として考え行動した結果がこれらの経営効果に繋がったとしています。

 今から25年ほど前、アメリカのサウスウエスト航空が、バランス・スコア・カードの手法で経営改善に成功した事例と比べ、jet-Blueの成功はまさにDXの時代の成功事例との感を強くします。

 

【その他の事例も参考にしてください】

 字数の関係もあり、以上の3例のみのご紹介となりましたが、この他にもDXがもたらす企業の未来像が見えて来る貴重な例が多くあります。是非本紹介本を開き、これからのDX経営のご参考として下さい。

 

■ 「2025年の崖」を克服し、「Beyond2025」であるべき未来を切開こう(むすび)

 

 コロナ禍の中、新しい社会・ビジネス・働き方の在り方を考える時を迎えています。DXにおいても、「2025年の崖」を乗り越え、「Beyond2025」の未来に向けたあるべき姿を求めていく大切な時と思います。

 紹介本の事例を参考にしながら、これからのデジタルテクノロジーの時代のあるべきビジネス・モデルの戦略の策定・実行をしていきたいですね。

■ 

【酒井 闊 先生 プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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  1. 2020/06/23(火) 13:14:27|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】200425 データとファクトで読み解く「ざんねんな中国」

 

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】200425 データとファクトで読み解く「ざんねんな中国」

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

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   『データとファクトで読み解く「ざんねんな中国」』

        (高橋洋一 石平 著〔対談〕 ビジネス社)

■ 中国に係るメタに基づく情報を得るチャンス(はじめに)

 紹介本では、“スーパー経済学者”の高橋洋一と“無敵のチャイナ通”の石平が、これまで対談の機会が無かったことが不思議だった二人の対談を通じ、中国に係るテーマを「米中貿易戦争の裏側で起きていること」「中国の実力を検分する」「粉飾の大国」「異形の国の不動産バブルと国際ルール」「香港は中国の支店になった」「台湾は守れ!韓国は見放せ!」「中国の本質」「日本経済に浮上の目はあるか?」の8つの章60(‟まえがき”と‟あとがき”を含む)項目につき、分析・解き明かしています。

 対談は、忖度や自分の思い入れではなく、数字や事実に基づき客観的に分析をしており、“メタ(表に必ずしも現れない事態の原因となっている真の事実)”な情報を得ることが出来ます。経営の参考にできる情報を得る良い機会ではないでしょうか。

 それでは、8つの章・60の項目の中から、私の注目点を選び、次項でご紹介します。

■ 中国を読み解く「注目点」

【関税の掛け合いで困っているのは中国】

 米中貿易戦争の関税掛け合いの結果、どの様に小売価格に反映されているのか、対談で明らかにしています。中国国内におけるアメリカからの輸入品の小売価格については把握出来ていないとしつつ、アメリカ国内における中国の輸入品の小売価格は上がっていないことを明らかにしています。

 その背景を分析し、中国からの輸入品は“代替品”つまり輸入先を台湾などの他国に替えられる物であるとし、結果中国企業がアメリカへの輸出品の小売価格が上がらないよう輸出価格を下げて関税分を“被って”いると結論付けます。トランプ政権は、絶対にアメリカ国内の小売価格が上がらないことを確認しながら段階的・戦略的に制裁関税を掛けて行ったとします。

 制裁関税の掛け合いは、中国の習近平政権の負けと結論付けます。中国はアメリカの貿易赤字を減らしアメリカの雇用創出をする政策(日本がとってきた対米戦略)は採らないし、一方アメリカも、中国資本・中国人を入れたら技術を盗まれると信用していないことから、アメリカ及びアメリカの影響力の強い経済圏に係る中国・中国人の進出は更に難しくなっていくと指摘します。

 またTPPについては、社会主義のベトナムが体制の変革を決め、痛みを覚悟し加入したが、中国については、金融の自由化・国有企業の改革が共産党体制を堅持する限り出来ないことから、加入できないとします。

 この様な状況を背景に、米中貿易戦争が長引くと、「アメリカ企業を含めて多くの外国企業が中国を離れる動きが出てくる」と指摘します。

【中国の対外政策の“韜光養晦”から“奮発有為”への大転換は正しかったか】

 対談は、中国の対外政策は、鄧小平・江沢民・胡錦涛の時代の政策から習近平時代の政策へと大きな転換がなされたと指摘します。それは、“韜光養晦(とうこうようかい;能力を隠して力を蓄える)”政策から “奮発有為(ふんぱつゆうい;勇んで事をなす)”政策への大転換がなされたというのです。

 また、対談は次のように“韜光養晦”政策と“奮発有為”政策の良否の比較をしています。『仮に今の中国の最高指導者の懐が深く、あと10年間我慢したら、アメリカも日本もどうにもならないかもしれない。しかし、習近平が指導者になり本性を剥き出しにして「先端技術でアメリカと競う」「一帯一路を打ち出して、アメリカを排除する」「軍事力を増大して南シナ海、東シナ海からアメリカを追い出す」と打ち出し完全にアメリカを怒らせてしまった。』『オバマは緩くて、いずれ中国は民主化するだろうとする甘い考えだった。天安門事件(1989年6月)以降30年間、アメリカも日本も“韜光養晦”政策に騙され続けて来た(が“奮発有為”政策で本性が見え目覚めた)。』と。

 さらに対談は、“奮発有為”政策で打ち出された“中国製造2025”“一帯一路”“AIIB(アジアインフラ投資銀行)”は『世界との標準が違い過ぎてワークしていない』と指摘します。

 結局“奮発有為”政策が、『米中貿易戦争を引き起こし、中国の傷を深くした』と指摘し、米中貿易戦争・米中経済デカップリングにおいて、中国が不利であることを明らかにしています。

【“政治的自由”と“経済的自由”はパラレル】

 対談では中国に関し、厳しい指摘をしています。『社会主義国は大国になれない。それは根本原理に“自由”がないからである。自由がない国には経済発展がない。』『政治的自由と経済的自由はパラレルでなければならない。これはミルトン・フリードマンが語っているが、正論である。』と指摘し、共産党政権がコントロールする中国の限界を社会科学理論から説いています。

■ 対談から今まで知らなかった情報を得て、今後の経営の参考とすべし(むすび)

 対談での中国に対する見方は、私が日本経済新聞(対談では“中国ベッタリの報道”と表現している)やTVなどのマスコミから得ている情報に比し、深く踏み込み且つ厳しい見方をしていると思います。いずれにしても、先行きどの様な状況になるのかは不透明・不確実といえましょう。

 この様な不透明・不確実な事象は、リスクと認識するのが正しい考え方ではないでしょうか。対談から読み取れる厳しい情報を一つの情報として頭に入れ、経営判断の材料としていく必要があるのではないでしょうか。

 

【酒井 闊 先生 プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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  1. 2020/04/28(火) 12:05:00|
  2. 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】200325 大前研一氏の『日本の論点2020~21』

 

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】200325 大前研一氏の『日本の論点2020~21』

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  『日本の論点2020~21』

        (大前研一著 プレジデント社)

■ 大前研一の俯瞰するこれからの日本・世界観を見てみよう(はじめに)

 著者の大前研一は、英国エコノミスト誌から、「現代世界の思想的リーダー」として、ドラッカー(故人)やトム・ピータースと共に名前が挙げられています。

 著者がプレジデント誌に連載している「日本のからくり」の過去1年分のストック及び特集記事から読者の反響の大きかった記事に、加筆修正して出版したのが紹介本です。

 紹介本の副題は『「アホ」が支配する世界で私たちはどう生き抜くか』です。この副題が表しているように、前月ご紹介した『日経大予測2020「これからの日本の論点」』の様に世界・日本のPESTを総覧的に俯瞰するのではなく、大前流の世界・日本観を論じています。

 その意味では、日頃私たちがマスコミで見るのとは異なった結論に至る論説をいくつか見出します。それが紹介本の特徴であり、私達の頭の中に一般的な結論とは異なった見方を認識できる良い機会とも言えます。

 著者は、‟巻頭言”の中で「世界各国で台頭するポピュリスト政治家たち」「‟異形の大統領”トランプに破壊されたアメリカの政治システム」「世界の経済史の中から完全に消えた‟泰平の眠りについていた日本”」「日本の再生を妨げているのは、過去の成功体験だ」等と大前流の突っ込んだ論説を窺わせています。

ところで、2020年をスタートにこれからの世界・日本がどうなるのか、どの様

に対応すべきか、著者は「改革でも改善でもないゼロからスタートする時」と記述しています。その記述は、その様な厳しい時と伝わってきますが、何をすればよいのか分かりません。その取り掛かりを、紹介本の大括り項目の「日本編」「世界編」「特別編」から、各編の注目に値する論点を一つずつ選んで、次項でご紹介します。

■ 各編の注目する論点を見てみよう

【「日本編」『国の借金を容認する、嘘っぱちMMTに騙されるな』】

 2019年4月4日の国会の答弁で、安倍総理は「MMT(Modern Monetary Theory)の理論を実行しているわけではない」と述べています(2019.4.4ロイター・東京)。

 一方、『通貨発行権を持つ国家は債務返済に充てる貨幣を自在に創出できるため、インフレにならなければ財政赤字の膨張は問題ない、国は破綻しないとする学説「現代貨幣理論(MMT理論)」』の提唱者であるステファニー・ケルトン教授(NY州立大学)は、2019年7月16日都内で講演をしました。物価上昇を目指した金融緩和が続く日本の財政政策について「中央銀行の金融政策よりも、消費者の所得を向上させる財政政策の方がより直接的に機能する」と述べています(2019.7.16日経電子版)。

 又ケルトン教授は、講演とは別に、MMT理論に関係して、「巨額債務を抱えているのにインフレも金利上昇も起きない日本が実証している」「日本の景気が良くならないのは、インフレを恐れすぎて財政支出を中途半端にしてきたから」「MMTは日本が直面するデフレの解毒罪になる」とも述べています(紹介本より)。

 紹介本の著者は、MMT理論に関し『次の世代に重荷(国の債務)を押し付けて今の繁栄を享受したいと思っている人にはMMTは心地よく聞こえるかもしれないが、将来世代からすれば、「危険物・リスク(財政赤字)の解消は現役世代の責務」と考える。この問題を放置すれば、世代間闘争も勃発する可能性もある。』と指摘する。更には、『「インフレも金利上昇も起きない日本」の基本的な要因は「低欲望社会」である。しかし、リタイア―世代が、‟団塊世代”の後の‟バブル世代”となり「低欲望社会」から「高欲望社会」に移行した場合、インフレが起こり、MMTのご臨終と、中央銀行の大規模金融緩和政策の終焉に繋がることは言うまでもない』と指摘します。

 

【「世界編」『世界を覆う「ポスト・トゥルース」とワーキングプア反乱の問題点』】

 著者は、現在の世界政治の現状を、『政治のリーダーが「ワーキングプア」層に対し目をそむけたくなるような「真実」よりも聞き心地の良い「嘘」を放って世論をリードしていく、「ポスト・トゥルース(post truth 、脱・真実)」に走る政治家の台頭が欧米先進国で目立つ』と言います。アメリカのトランプ政権、イギリスのブレクジット、イタリアの「五つ星運動」と「同盟」の連立政権、ドイツの反EUの右派政党「ドイツの選択肢(AID)」の台頭などを具体例として挙げています。

 更には、これはポピュリズム、衆愚政治の極みと表現し、格差が広がり社会構造が二極化する中で、富の偏在を修正したり、社会に還元させたりする本来の政治の役割を果たさず、逆にそれを煽った方が票につながるとして「ポスト・トゥルース」に走っていると指摘します。

 一方、日本においては驚くほどワーキングプアが政治勢力化していないとして、その一つの要因として、身の丈に合ったような生き方を選ばせるような戦後の偏差値教育が強く影響していると指摘します。

 

【「特別編」『日本を成長させるのは「構想力」を持った人材である』】

 著者は、日本の低迷を「文部科学省が国内でしか通用しない人材をひたすら輩出している」ことを要因として挙げ、グローバルに通用する「論理的思考力」と「語学力」を育てる教育プログラムの必要性を説きます。更には、『経営は答えのない世界。そこで求められるのは見えないものを見る力「構想力」であり自分で答えを導き出す能力とスキルだ。これからの企業の浮沈はそれらを持ったグローバル人材をいかに世界中から集めてくるかにかかっている。』と指摘します。

 

【その他の「論点」】

 上記以外にも

〔日本編〕:「憲法8章を換えない限り、日本の地方衰退は進んでいく」

〔世界編〕:「いまや再選絶望のトランプ。次期大統領の候補は誰か?」

〔特別編〕:「21世紀サイバー経済でパスポートとなるのは、どんなスキルか」

等、大前研一流の知見と深い洞察力で書かれている「日本の論点」が多く掲載されています。詳しくは紹介本をお読みください。

「改革でも改善でもないゼロからスタートする」の意味を考えよう(むすび)

 著者が唱える「ゼロからのスタート」は、深い意味を持っていると思います。世界・日本を見渡しても、新しい予測不能な事態が次々と出ています。

 その様な不確実性の時代に生き抜いていくためには、感性の高いアンテナを張りめぐらし「メタ」を得、そこから導き出される情報を生かしながら、迅速且つ持続的・適切な企業経営のマネジメントを求められる年になりそうですね。

【酒井 闊 先生 プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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